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    2.5 受付嬢とラピス

さて、私はいま応接室にいます。応接というからには相手がいるわけですが、なぜか阿澄学園の入学し今まさに授業中だろうというラピス・グレコールが目の前にいます。さて、ここは素直に学園のお引き取りを願うか、話を聞くかの2択になるわけですがどうしましょう。

 部屋に通した際に出した紅茶と茶菓子をちびちびと消費しては私の事をちらちらと見てくるのですが、この子は一体私に何の用があるのでしょうか?


「あの……」

「はい、なんでしょう」

「ラグジュアブールの件、どうして私の救助依頼を出したんですか? それに、前々からたまに来てましたよね。ラグジュアブールに」


 わざわざそれを聞きに学園をさぼったのですか、この子は。まあ、口止めをされているわけでもありませんし話してしまっても問題はないでしょう。


「レイティア・グレコール。当然聞き覚えは」

「……私のお母さんです。なんでそれを――」

「私に何かあったら娘をお願いね。彼女はそう言って去りました。私は彼女との約束を果たしだけですよ」

「お母さんに会ったんですか? ッどこで!」

「残念ながら所在は不明です。あのときの混乱では行方不明者が多発、いまでも所在がつかめていませんから。彼女も、そのうちのひとりです」


 レイティア……あなたの娘は、あなたそっくりに育ってますよ。背を小さくして童顔にしたといってもいいくらいに。

 よくよく考えてみれば、Sランクの座を捨てて協会の受付になり下がってみてはみたものの、彼女との約束を守るためにライセンスだけはいまだに保持していますね。正式申請さえすれば、またSランクとしてやってはいけるでしょうが、その必要性は今はなさそうです。


「お母さんは……シークに連れていかれたんじゃなかったんですか」

「ああ、あのシークなら私が始末しました。他のシークは始末しそこねましたが。そのさい、現場も相当混乱してましたからね……ゲートがいたるところにありましたからそのどれかに入った、と考えてはいます」

「……始末?」 

「はい。私、こう見えても元Sランクシークですから。そういうこと(・・・・・・)には慣れてます。慣れているはいっても昔の事ですからそこまで緊張しなくてもいいですよ」

「……じゃあ、生きてるんですか」

「少なくとも、私はそう考えています」


 レイティアなら、世界を渡ったとしても生きているでしょう。


「それと、あなたの保護者の形になっているマリア・イグリーフですがティア在沖の『ギンロウの魔女』ということでよろしいですね?」

「……え?」


 あの容姿とマナ制御能力の異常値の持ち主は魔女以外はいないでしょう。圧縮グラスに入ったマナの持ち出し許可を出したのもそこを踏まえての事ですし。

 今の反応を見る限り魔女関連での事は知らないようですけど。


「現在、ティアに置いて抑止力になっていた彼女がティアから消えうせた事によってティアの事情がだいぶ変わりつつあります」

「え? それはどういうことですか?」

「彼女が拠点としていたのはアスティナの森という巨大森林ですが、そこに生息する霊獣、神獣の幼獣の数が減っています。他にも森に生息するアミールといった宝獣の数も同じく」


 魔女に狩られる事がなくなった連中の仕業とは思いますが、魔女の抑止力がどれほどのものだったかがうかがいしれますね。その魔女を抱えてきたあの少年もどうかしてますが。


「この件に関して、協会判断で違反者シーク及びブローカーの粛清を行います。ティアの王族との話し合いも済んでいますのであとは決行するのみです。それに合わせまして、この粛清には彼女にも行ってもらおうかと思っています」

「でもマリアさんまだ行けないんじゃないですか?」

「昇格試験は連続して受けてもらってもかまいません。オーヴァンから戻り次第、Bランク昇格を受けてもらいます」


 この粛清、参加するのは1993支部のみではなく他の支部も参加しますからね。その中には評判が悪いところも参加していみたいですから、何をしでかすかわかったものじゃないです。それに彼女にはやってもらいたい事もあります。まあ、これはおいおい本人に伝えるとしましょう。


「それでは都合よくここにいることですし、これを渡しておきましょう」

「なんですか、これ……ライセンス?」

「こちらで用意しましたCランクのライセンスになります」

「Cランク……? そもそもなんで私にライセンスを?」

「レイティアが異世界のどこかで生きている。探すにしても異世界へ渡れるのはシークのみですからね、その用途で用意させていただきました。ご不要なら返還ということもできますがいかがいたしましょう」


 Cランクなら一通りの世界には渡れますし、危険な世界にはBランク以上からですし。


「もらっておきます。これがあれば異世界に行けるんですよね」

「はい。慣れるまではあの2人についてきてもらったらいいでしょう。私の方から伝えることは済みましたが何かありますでしょうか」

「はい、大丈夫です」


 さて、用件も済みましたし仕事にもどりますか。


受付嬢の身分判明です。そして伏線。



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