とある魔女と男の出会いと序章
新作スタートです。
まずは序章。
地球が存在してるこの宇宙以外にも宇宙がある。
そんなこと数百年も前に解明されてる事。そして、その他の宇宙の世界――異世界――との行き帰りも確立されてる。
かといって定説を実証してここにいたるまではかなりの犠牲が出たみたいだけど。たしか、地球の世界人口が七十億から四十億に減ったとか。
三十億もの人間をたった5日間で喰い殺した異系の化け物。
超真空空間。それが全ての宇宙の始まり。その越えられるはずのない真空世界をこじ開けて異世界への道を作った、報い。
いたる世界へと門が作られて、シークと呼ばれる者たちが次々に異世界へた渡った。依頼を受けてそれをこなして莫大な報酬を得るため、過激なスリルのため、各シークは想い抱くものを抱いて。
とある草原。寝転がって空を見てる私。
踝付近まで伸ばしてある銀髪が風になびいてる。その風に乗って血の匂いもする。
「で、そのアミールを殺した理由は?」
顔もあげずに匂いのした方向に声を向けた。
「依頼で」
アミールというのは、体を構成しているものが宝石、あるいはそれの準ずる高価値な生物。地球にいるウォンバットに似てる。
アミールは臆病な生物で、襲わない限りはなにもしてこない。
「その子、私に結構なついてたんだけど」
臆病なかわりに、何もしなければそれなりになつく。今後ろにいる男が、串刺しにしてるアミールは呼べば来るくらいになついてた。
「子供もいたはずだけど、殺した?」
「いや、コイツだけ」
「珍しく『親子』を認識して家族形成する性質があるのに、どうやって引きはがしたわけ? 大人になるまで母親に終始べったりのはずだけど」
他の生き物は成長したら親子なんて関係ない。でも、アミールは自分の親兄弟認識できる。それも人間と同等レベルでの認識が。
「結界でもはって閉じ込めた? それとも手足切り飛ばした?」
後者なら……。
「巣穴に埋めた」
「生き埋め……」
寝転がっていた体を起こして、改めて男と対面。へぇ、整った顔立ち。
「さて、と。『ギンロウの魔女』知ってる?」
「? ああ、ハンター殺しだろ」
「じゃあ問題です。そのギンロウの魔女はだーれだ」
大気中のマナを掌握。続いて掌握したマナに指向性と属性付加。
「……は?」
「時間切れ。バイバイ」
光属性を付加したマナの塊――ヴィマナを男に向けて放つ。
さて、生き埋めにされたアミールのとこにで、も……。
「……へえ」
「ったく、殺す気かよ」
「結構、というか本気だったんだけど」
男の手にはアミールを串刺しにしていた剣。ふむ、魔導鋼かなにかってとこ。だとしても相当純度が高そうね。
「で、あんたはどうやったら死ぬわけ?」
「あんたって……俺には高峰朋弥って名前があるっての」
「あらそう。魔女なんて言われてるけど私にもイグリーフ・マリアって名前あるんだけど」
朋弥が剣を構える。それと同時に私も周囲のマナを全て掌握する。
「今度はきっちり殺すから」
「やれるもんならな」
はい、新作です。ファンタジーです。初ジャンルです。
活動報告にも書いたとおり、はっちゃけてみました。