竹林の中の九つの輝き 〜Nine Old Kaguya-hime〜
むかしむかし、ある山の中に、竹を取って暮らすおじいさんがいました。
ある日、竹林の奥から「メキメキッ! バキィッ!」という、およそ風流とは程遠い破壊音が聞こえてきました。
おじいさんが恐る恐る覗き込むと、そこには黄金色に光る竹……を、謎の筋肉を駆使した特殊技法で粉砕しながら直進してくる、九人のお婆さんがいました。
彼女たちは竹を一本ずつ手刀で叩き折り、あるいは背負い投げでなぎ倒し、一本道を作りながら徘徊していたのです。おじいさんは、あまりの迫力(と竹林の被害総額)に腰を抜かしましたが、これも天からの授かりものと思い、九人のかぐや婆を家に連れ帰りました。
お婆さんたちは、家に落ち着く間もなく、その驚異的な身体能力と深刻な認知症を爆発させました。
九人の「かぐや婆」たちは、常に「ここはどこかねぇ」と呟きながら、屋敷の壁を筋肉で粉砕しては外へと彷徨い出します。彼女たちの徘徊はもはや散歩ではなく、「人力による森林伐採」でした。
近隣の貴族たちが「月より美しい(?)姫がいる」と聞きつけてやってきましたが、そこで目にしたのは、五位の蔵人が差し出した火鼠の皮衣を「あら、いい雑巾ね」と筋肉で引きちぎり、床掃除を始める九人の老婆の姿でした。
貴族たちが絶望している隙に、九人の老婆たちは再び徘徊を始めました。
彼女たちは驚異的な脚力で森の中を逆走し、「200万人のヘンゼル」が撒いたパン屑道路を、その強靭な足腰で粉々に粉砕しながら突き進みました。
十五夜の夜、月からの迎えがやってきました。
しかし、九人の老婆たちは空飛ぶ車を見るなり、「あら、新しい介護タクシーのお迎えかしら」と喜び、迎えの使者たちが差し出した『天の羽衣』を「肩が凝るわね」と筋肉で引き裂き、使者たちを次々に竹林へと投げ飛ばしました。
月の使者たちは、九人の老婆による「終わりなき筋肉の洗礼」と「圧倒的な多動」に恐怖し、ボロボロになった宇宙船で月へと逃げ帰ってしまいました。
今でも、静かな月の夜には森の奥から破壊音が聞こえてきます。
「ご飯はまだかねぇ……」「メキメキッ、バキィッ!」
それは、二百万人の子供と、一千万人の精密法師が支配するこのカオスバースに、「物理的徘徊」という新たな絶望が刻まれた瞬間でした。




