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満載グリム童話・昔話集:その重みに耐えかねて  作者: イグアナ


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精密なる一千万人の小さな影 〜0.91525632215-sun-boshi〜

むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

 二人が「指先ほどの子でもいいから」と願って授かったのは、一人ではなく、一千万人の小さな男の子でした。

 彼らの身長は一寸(約三・〇三センチ)にすら届きません。正確には、〇・九一五二五六三二二一五法師という、気の遠くなるような端数を抱えた存在でした。

 彼らは自分たちのこの数値を誇りにしており、もし誰かが「一寸法師」と一文字でも間違えようものなら、その瞬間に一千万本の針が喉元に突きつけられるのでした。

 お父さんは一千万人の「精密法師」たちのために、一千万膳のお椀の舟を用意しました。

 彼らが川を上る姿は、もはや風流な旅などではなく、「川の水を一滴残らず押し出す一千万個のプラスチック(あるいは漆塗り)の塊」による、大規模な河川氾濫を引き起こしました。

 都に着いた彼らは、お姫様の警護に当たりました。

 そこへ鬼が現れ、彼らを飲み込もうとしましたが、それが運の尽きでした。

 鬼が「一寸法師め!」と叫んだ瞬間、精密法師たちは一斉にキレました。

「私は『〇・九一五二五六三二二一五法師』だ! その小数点以下の微細な誇りを、今すぐその無作法な口で償え!」

 一千万人の法師たちは、鬼の胃壁をナノ単位の精度で解体し始めました。

 彼らはただ暴れるのではありません。一千万人が完璧な分業体制を敷き、鬼の細胞一つ一つを「精密に」切り刻んでいったのです。鬼はあまりの激痛と、彼らの執拗な「名前の訂正」の連呼によって、精神を病んで消滅してしまいました。

 法師たちは打ち出の小槌を手にしましたが、彼らは「大きくなりたい」とは願いませんでした。

 代わりに「自分たちの身長を小数点以下百桁まで正確に測定できるノギス」を願いました。

 今でもこの国のどこかに、一千万人の小さな男たちが住んでいます。

 もしあなたが彼らの名前を「一寸」とでも呼んでしまったら、翌朝、あなたの家の全ての家具は〇・九一五二五六三二二一五の倍数に精密にカットされていることでしょう。


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