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満載グリム童話・昔話集:その重みに耐えかねて  作者: イグアナ


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鏡の国の質量と五十メートルの悪夢 〜The 50m Cinderella Glitch Universe〜

 それは、時の狭間に存在する、歪んだ「不思議の国」でした。

 そこは、あらゆる物理法則が不安定で、飲むと大きくなり、食べると小さくなる、不安定な空間でした。

 その歪んだ空間に、不意に「漆黒の巨大な幾何学ゲート」が開きました。

 そして、本来の宇宙から「五〇・〇〇〇〇〇〇〇〇メートル」という過剰な質量を持った、「百人のシンデレラ」が吐き出されました。

「ここはどこ? まだお城じゃないの?」

 シンデレラの一人が困惑して呟きました。彼女たちがこの空間に持ち込んだ「五〇メートル」という数値は、不安定な世界の歪みを、瞬時に「崩壊」へと導きました。

 空間は悲鳴を上げました。

 目の前にあった「ドリンク・ミー」と書かれた小瓶は、シンデレラの吐息の風圧で粉砕され、小瓶の中身が空間に飛び散ると、周囲の景色が一瞬で数十キロメートル規模に巨大化したり縮小したりを繰り返しました。

 「三月ウサギ」や「帽子屋」たちが開いていた狂気のティーパーティー会場は、シンデレラの一歩の振動で、大地ごとひっくり返りました。

 「時計を持った白ウサギ」は、シンデレラの巨大な足跡を前に、「遅刻だ!」と叫ぶ暇もなく、時間の概念ごと踏み潰されました。

 もはや、この空間に「冒険」や「不思議」はありません。あるのは「圧倒的な質量」と「不可逆的な破壊」だけでした。

 百人のシンデレラたちは、元の世界で培った「不当な労働への怨念」と「暴力的な質量」を発散させるかのように、無秩序に暴れ回りました。

「このトランプの兵隊、脆すぎるわ!」

 五〇メートルのシンデレラが、城壁のように積み上げられたトランプの兵隊たちをなぎ倒すと、空間そのものがカードのようにペラペラと崩れ落ちました。

 「ハートの女王」が「首をはねろ!」と叫びますが、五〇メートルのシンデレラたちにはその声すら届きません。彼女たちは女王の城を「灰を被る前の我が家」のように雑に扱い、屋根を剥がしては放り投げました。

 百人のシンデレラは、時間の概念も物理法則もないこの閉鎖空間で、永遠に五〇メートルの質量を振るい続けました。

 この物語は、他のカオスバースの住人たちが決して知ることのない、切り離された次元での「五〇メートル級の悪夢」として、今もなお続いています。

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