第十七話 共犯
「門倉、トラックを運転できると聞いたが本当か?」
紀依は、廃材を持ってゴミ捨て場に行った帰りに、整備小隊の軍曹に呼び止められた。朝の出撃で本田たち四機を制空任務に送り出した後のことだった。
「……はい。実家の工場の中での移動で運転したことはあります」
紀依は一瞬返事をためらった。なぜなら運転免許は持っていなかったからだ。本当は近所の配送もやらされていたのだが……。
「それはよかった。朝言った囮飛行機の設置をやる作業の件だ。トラックを運転するはずの升沢がさっき腕をひねっちまってな。代わりにやってくれないか。囮の組み立てと偽装掩体の造成は先に行った篠山と勤労動員の中学生たちがやるから、お前はトラックを動かせばそれでいい」
わかりました!と紀依が返事をすると、すぐに駅まで行ってくれと言い残し、軍曹は去った。
紀依は廃材バケツを元あった場所に戻すと、営門へ向かった。飛行場中隊の衛兵に、升沢二等兵の代わりに運転手をやるので、と告げると話は通っていたらしい。すぐに公用の腕章を出してくれた。紀依は軍属だったから、腕章がなくとも営門を出ていくことはできた。しかし整備担当になってから、なるべく周囲の整備兵たちに合わせるようにしていた。指宿北飛行場から二月田の駅までは小走りで十分程度だった。
二月田駅の横の空き地には、筵で覆われた巨大な荷物——貨車で送られてきた囮飛行機——が山のように置かれていた。紀依が着いた時には、篠山伍長が集まった数十人の中学生を前に話をしているところだった。黒い詰襟の学生服にゲートルを巻いた中学生たちが一斉に紀依に注目した。それに気付いた作業服姿の篠山が振り返った。
「あれ?なんできー……門倉が来てるんだ?升沢は?」
「升沢二年兵殿は怪我をされましたので、代わりに私がいくように大勝軍曹殿に言われました!」
紀依が声を張り上げると、中学生たちの中でヒソヒソと声が上がるのがわかった。
「女!?」「……なんで?」
「そっか。じゃあのトラックここに持ってきて」
全員の視線を感じながら、紀依は駅前に停まっていたトラックに乗り込んだ。できると言ったものの、しばらく運転はしていない。大丈夫かな、と紀依はすこしだけ心配になった。
人の前に立つ時は胸を張れ、と耳にタコができるほど聞いた父親の言葉が脳裏をよぎった。
背筋を伸ばし、差しっぱなしになっていた鍵をひねると、少し粘った後にすぐにエンジンはかかった。遠いクラッチペダルを踏み込んでからギアを後退に入れる。空いている窓から顔を出して後方を確認すると、アクセルを開け、慎重にクラッチを繋いだ。ゆっくりとトラックは後ろに動き出した。ハンドルを切りながら後退し、篠山の誘導で荷物の前にトラックの荷台をつけた。
紀依はこっそりと安堵の息を漏らしてからトラックを降り、当然のような顔で篠山の隣に立った。
篠山は振り返って中学生たちに続けた。
「では今話したように掩体班は俺に続いて道具を取りに行き、そのまま掩体を作る。荷役班は、この門倉の指揮で囮飛行機をトラックに積み込みを始めろ」
篠山はニヤリと笑って続けた。
「門倉は軍属だが六年兵相当だ、くれぐれも粗相のないようにな!」
荷役班の十数人の中学生たちは、空き地に山積みになった囮飛行機をトラックの荷台に積み込み始めた。囮飛行機は翼と胴体が分離されており胴体はさらに二分割されるようになっていた。本物と違い、竹の骨組みと帆布でできた機体だったが、それなりに重く、胴体は十人がかりで持ち上げた。
見ているだけでいい、と篠山に言われた紀依だったが、トラックの荷台への固定や位置の調整などは手伝った。あまり大きくないトラックでは一回に運べるのは一機分もなかった。紀依がトラックを運転し、荷台に乗った中学生たちが松林の端の指定された偽装掩体の予定場所へ下ろす。それが終わると駅前に戻って積み込む作業を、何度も続けることになった。
囮飛行機を運び終わった後、紀依と一緒にいた荷役班はそのまま囮飛行機の組み立てをしていくことになった。篠山が指揮した掩体班がスコップとツルハシを手に掩体壕の土盛を作っている。掩体壕と言っても囮飛行機を置くためのものだから、本格的な物ではなかった。土盛は低く、土を掘った溝はそのまままだった。
囮飛行機は翼と胴体の前後、脚部に分解されていた。最後の組み立てはそれぞれの部品を何人かで抑えながら荒縄で結んでいく構造になっている。五式戦では無く一式戦闘機”隼”を模した物だったが、遠目に見ると本物のように見える出来栄えだった。
何機かの囮飛行機を組み立て終え余裕が出てくると、紀依の隣で翼を押さえていた中学生の一人が紀依に話しかけてきた。
「門倉さんて、何歳なの?」
「えっ?」
脚を手で押さえていた紀依は、ぼーっとしていたせいで返答に詰まった。ちょうど後ろを通りがかった篠山が、吹き出した。
「お、どうした。普段なら年上には敬語ね!くらい言いそうなのにな」
篠山に気が付かず、不意をつかれた中学生はパッと背筋を伸ばして頭を下げた。
「す、すみません!」
篠山に下げたのか、紀依に下げたのか、紀依にはわからなかった。
ふと気がつくと空に爆音が響いてきた。腕の時計を見ると、本田たちの帰還には早い気がした。
紀依は空を見上げた。
◆◆
その日、飛行第百九十一戦隊は早朝に五式戦闘機四機で指宿北を離陸、喜界島上空で制空任務を行うことになっていた。しかし結局会敵することなく、数時間滞空したのちに帰投することになった。その間に進撃していた特攻隊がどうなったのか、彼らに知らされていなかった。胴体下に吊るした落下タンクの中の燃料は空になり、燃料系は機体タンクに切り替えた。全機がそのまま落下タンクはぶら下げたままで帰途に着いていた。
左手にすり鉢状の開聞岳を見ながら薩摩半島に入ると、四機の先頭を飛んでいた本田は操縦席の中で一息ついた。指宿北飛行場はもうすぐだ。水筒の蓋を開け、水を一口飲んだ時、本田は異変に気がついた。
指宿上空を多数の飛行機が乱舞していた。地上からはたなびく煙も見える。
明らかに、味方機ではなかった。
さっと、血の気が引いていくのがわかった。本田は首に巻いたマフラーに手を当てた。
「サクラ02より。敵小型機、二十機以上、基地上空に確認」
無線機を操作し、全機に伝達した。
「攻撃する。終わり」
落下タンクを切り離し、スロットルレバーを押し込んだ。巡航速度で飛んでいた五式戦闘機は、加速を開始した。
すぐに伊吹からの無線が入った。
『本田、待て、落ち着け。こちらからも見えた』
繰り返しの怒声に近い声が、改めて飛行帽の耳当てから聞こえてきた。
『向こうはまだ我々に気づいていない、待て』
本田はスロットルレバーを戻し、後方を振り返った。
伊吹は、五式戦闘機の操縦席で無線機を操作しながら続けた。
「サクラ01より各機。基地上空低位に敵小型機二十機を発見。我々は高度3000まで上昇してから攻撃する」
伊吹は付いてくる二機を確認するため、後ろを振り返った。
「サクラ03と04は俺の合図で三十秒後に北と南側から行け。一撃後に離脱し、そのまま新田原に降りろ。戻ってくるな。02は戦闘を続ける、俺に続け。行くぞ」
伊吹は落下タンクを切り離した。タンクは配管に残っていたガソリンをキラキラと輝かせながら落ちて行く。空中戦に備え、左手で天蓋をスライドさせて解放した、冷たい空気が操縦席の中に吹き込んできた。
◇◇
「やられましたー!」
掩体壕脇の溝に隠れているらしい中学生が叫んだ。その内側には、組み立てたばかりの囮飛行機が置かれ、何度も空からの銃撃を浴びていた。
指宿北飛行場の上空には、白い星のマークをつけた銀色の米軍機が乱舞していた。次々と低空に降りてきては、翼の前縁を真っ赤にしてシャワーのような機銃弾の嵐を降らせてきた。皮肉にも囮飛行機はその役目を十分に果たし、次々と攻撃を受けていた。
攻撃が始まった時、空襲警報のサイレンは鳴らなかった。誰かの敵襲!の怒声で、全員が手近な防空壕へ走った。しかし呆然と周囲を見渡した何人かはその場に取り残され、掩体壕を掘った土の溝に身を隠すしかなかった。そこに、爆音と共に銃弾が襲いかかった。
紀依はピスト横に掘られた防空壕に隠れながら、隣の篠山を見た。周囲には逃げてきた中学生たちが頭を抱えてしゃがみ込んでいた。
「やられたって言ってるくらいなら大丈夫だ。直撃じゃない」
「でも——」
篠山は続けた。
「じっとしてるんだ。じっとしてれば飛行機からは案外見えないんだ。動いているとすぐに見つかって、狙われる」
篠山は掩体壕の溝にいる中学生たちに叫んだ。
「がんばれ!合図をするまでじっとしてろ!なんでもいい、傷口を押さえてろ!」
紀依は掩体壕を見ようと、わずかに上げていた頭を戻して防空壕から空を仰いだ。乱舞する銀色の米軍機は入れ替わり立ち替わり攻撃態勢に入ってくる。エンジンの轟音、バリバリという機銃の発射音に加えて、バシュッ!というロケット弾の音も加わり始めていた。ようやく鳴り始めた空襲警報のサイレンを聴きながら、紀依は頭を抱えてうずくまった。
そして、空からまた爆発音が聞こえた。
◇◇
最初の一撃で、本田と伊吹がそれぞれ一機、合計二機のP-47サンダーボルトを撃墜した。地上を攻撃する行程に入っていたP-47の二機は回避行動をせずに悠然と侵入していた。急降下で奇襲攻撃をかけた本田たちにとって、吹き流しの的も同然だった。本田が機首の20mmで正確に操縦席を打ち抜くと、P-47はまっすぐ地上に落下していった。すぐ後に続いた伊吹は本田の撃墜した後ろを飛ぶP-47を狙った。P-47は主翼の付け根の燃料タンクに被弾すると爆発的に炎上し、炎と黒煙をあげたのち、空中分解した。
その瞬間、指宿北の上空を乱舞していたP-47のほとんどは襲撃に気がついていなかった。二機が撃墜されて初めて事態を理解し、離脱するものや、敵を探して旋回を始めるものも出てきた。
そこに、横井伍長機と平川伍長機が時間差で飛び込み、機首と両翼全ての機関砲を打ちまくりながら駆け抜けた。横井は、かろうじて一機に命中弾を与えた。しかし、二人は伊吹の指示通り、無理して照準の修正はしなかった。速度を維持したまま戦場を駆け抜け、離脱した。
P-47の群れは大混乱に陥った。
「左後方、二機。上がってくるのが見えるか」
伊吹はエンジン全開のまま猛スピードで急上昇する五式戦の操縦席から、無線で本田に確認した。
「見えてます、無理に高度を上げすぎてる。次はそいつで」
本田は天蓋を開け放した操縦席から振り返りながら後方を見渡し、伊吹の言った機体を目で確認した。そのまま周囲を見渡し、敵の位置関係を改めて頭に叩き込む。
◇◇
「本田曹長だ!」
誰かの叫び声に、紀依は跳ね上がって周囲を見渡した。隣の防空壕で整備兵の一人が身を乗り出して空を指差していた。その指の先には急上昇していく五式戦闘機の姿があった。
紀依が目を凝らすと、五式戦闘機の赤いプロペラスピナーがはっきりと見えた。それは前回の出撃で被弾し、交換したもの。予備部品がなく、格納庫の隅に転がっていた百式司偵の故障機から付け替えたのだ。間違いなく本田の五式戦闘機だった。後を別の五式戦闘機が追っている。誰だろう、紀依は思った。
視界の端に見えていた、落下していく米軍機が滑走路の向こう側の地面に激突し、爆発するのがわかった。落下傘は見当たらなかった。
◇◇
「Damn it! My fault... My fault!(くそ、俺のせいだ、俺のせいだ——)」
リード大尉は、自分を呪いながら第611戦闘飛行隊のハワード少佐を撃墜した敵機を追っていた。第612戦闘飛行隊の指揮官だった彼はハワード少佐の指示で彼らが地上攻撃をしている間、上空で警戒と支援を行っていた。しかし日本軍機は見渡す限り存在せず、抵抗の少なさから、彼ら自身も地上攻撃に加わろうとした。その隙をつかれ、上空から急降下で降ってきた日本軍機にハワード少佐機とその僚機が撃墜されたのだ。本来はリード大尉が先に発見して阻止するべきだったのだ。
ハワード少佐機が力なく地面に落ちていくのを信じられない思いで見ていたリード大尉は、さらに次々と突っ込んでくる日本軍機に冷静さを完全に失っていた。
「Bandits climbing! Stay on them!(敵は上に逃げるぞ、追え!)」
本来なら急降下で離脱するか、それができない場合は水平加速で戦域を離脱するのがセオリーだった。しかし頭に血が上っていた大尉は。スロットルレバーを全開にして急上昇する最初の敵機を追い始めた。彼の後ろにつく僚機もそれに続いた。
P-47NのR2800エンジンが図太い音を立てて咆哮を始めた。
逃げる敵機に徐々に距離を詰め始める。緩やかに旋回し、後ろに回り込もうとする敵機に機首を向けようとした。正面からの撃ち合いであればP-47の8門の12.7mm機関銃の猛烈な弾幕で、日本軍機はバラバラだ。
「All right… you’re mine…(よし、いける……)」
しかし、大尉のP-47は無理な上昇で速度を失っていた。大出力のR2800エンジンとはいえP-47はその巨体のせいで上量力は高くない。
大尉が睨みつけていた日本軍機はそのままの速度であっという間に旋回を終え大尉のP-47の上方に回り込み——気がつくと大尉の真上に迫っていた。
敵機の正面がこちらを向いた時、操縦席から照準器を覗き込むパイロットと、目が合った気がした。
◇◇
「やった!」
「また撃墜だ!」
紀依の周りの整備兵や中学生は総立ちになって上空を見上げていた。もはや地上を攻撃してくる敵機はいなくなっていた。
猛然とエンジン音を響かせ、本田機を追って急上昇していた敵機は徐々に速度を失って行った。そこに上昇の頂点で緩やかに回ってきた本田機がその上を取った。そして、機首から発砲する20mmの発射煙が吐き出されるのが見えた。ほぼ同時にP-47の胴体から何かが飛び散るのが見えた。バババッという発砲音も遅れて紀依の耳に飛び込んでくる。本田の後ろを飛んでいたもう一機の五式戦闘機がもう一機、同じように追い縋ってきたアメリカ軍の戦闘機を銃撃するとまた火を吹いて落ち始めた。
紀依は呆然としてそれを見ていた。伊吹大尉だ!の声も上がったが紀依には聞こえていなかった。
「しろさん……」
紀依の視線は再び急降下してくるプロペラスピナーの赤い五式戦闘機に釘付けになった。うなりをあげて緩やかな旋回を続ける五式戦闘機は地表付近をぐるぐる回っていたもう一機のアメリカ軍機を正確に捉え、撃墜した。
指宿飛行場の北側の畑にさらに三つの炎上する敵機の残骸から炎と煙がたなびき始めた。
◇◇
激しい空中戦が続いた。
本田と伊吹の五式戦闘機は速度を維持したまま、交互に入れ替わって上空から攻撃を続けた。その度に敵機は被弾し、さらに一機が撃墜され、二機が大破して戦場を離脱した。
しかし、そこまでだった。
数とパワーに勝るP-47十数機はしだいに態勢を立て直していった。高度を上げ相互に援護するようになると、本田たちが攻撃する隙がなくなっていった。そしてついに同高度での空中戦に移行する。
P-47は五式戦に有利な格闘戦には乗らず、射撃チャンスを得ては離脱していく。機動性に優る五式戦闘機はP-47の無理な位置からの射撃を軽くかわしていくが、そのために速度を失っていき、徐々に追い詰められていった。
ついに本田の五式戦闘機がP-47の射線に捉えられ、ロールの後の横滑りで回避したその時——横井と平川の五式戦闘機が、銃撃しながら再度急降下で空中戦に加わった。伊吹の命令を無視した二人は、戻ってきたのだ。
流れが、変わった。
思わぬ増援の介入に、P-47は算を乱して離脱を開始した。
着陸した本田たち四機の五式戦闘機はプロペラを停止するまもなく、大歓声をあげて近づく整備員や飛行場中隊の兵士たちに囲まれた。その日、指宿北飛行場を攻撃していたP-47は二十四機、そのうち六機を撃墜し、二機を撃破していた。対して飛行百九十一戦隊の四機の五式戦闘機の損害はゼロ。
久々の完全勝利だった。
空中戦は地上から目撃され、同じく目撃していた知覧からの問い合わせに、実質的な彼らの指揮官であった第六航空軍の小林少佐は興奮気味に回答していた。上級司令部からの酒を送るとの連絡と、夕方から天気が崩れるとの予報のため翌日の出撃は中止となった。そして、そのまま夜に松乃湯で祝勝会が開かれることになった。
紀依の目の前の掩体壕で攻撃を受けた中学生たちは幸いにも軽傷だった。基地の医務室で手当を受けて、全員帰宅することができた。
◆◆
指宿北飛行場から松乃湯まで、勤務を終えた本田と紀依は歩いていた。昼過ぎから徐々に増えてきた雲で空はどんよりと曇り、今にも雨が降り出しそうだった。紀依は本田の少し後ろを歩きながら話しかけた。
「しろさんの星の印、今日は、またたくさん増えたね」
「そうですね」
本田は空を見上げてつぶやいた。
「今日のね、しろさんの戦闘機の弾は私が入れたの。機首の二十ミリと、翼の十三ミリ、どっちも。どうしてもやりたいから、篠山さんにお願いして。ちゃんと弾は出たでしょう?」
本田は振り返った。紀依は立ち止まって本田を見ていた。
「私の用意した弾で、しろさんが敵を撃ち落とした——」
「それは……」
本田は言葉を失っていた。
「一緒だね。私たち」
紀依は少し目を伏せてつぶやいた。
「しろさん、私に言ったよね。俺の手は血まみれだって」
「——言いました」
本田の声は、かすれていた。
「もしも、しろさんがそれで地獄に落ちるなら——」
紀依は本田の目をまっすぐに見て続けた。
「——私も一緒だね」
本田は立ち尽くしていた。
紀依もまた身じろぎひとつせず、本田を見つめていた。
しばらくの間、二人は見つめあっていた。
雨がポツポツと音を立てて降り始めた。
濡れた葉の匂いが、あたりに立ち込めていた。




