初めての襲撃
開始は夜、起きているのが門番くらいになる時間を目安に開始する
「門番は2人、騒がせず殺さないと」
この日のために準備だけはしっかりしていた、建物を壊す為の爆弾、体力、魔力が少なくなった時用のポーションなど、様々だ
「いくか…!」
門番の1人がよそ見したタイミングでもう1人の方に斬りかかる
「なっ!何者っっ…」ザク
「このっっ!」
よそ見していた門番も斬りかかってきたが、よそ見の分反応が遅かった
ザク ドサッ
「やった…のか?」
2人を殺めてしまった、斬った感覚ははっきり言って最悪だった、肉が切れ、骨を断つ感覚、魔物とそうは変わらないはずなのに、人の形をしているだけでこんなに変わるものなのかと思った
「もう、後には引けないな」
2人の人間を殺したことは変わらない、そう思うと、何故だか不安は消えていた
「とりあえず壊すか」ヒョイ
そう言って爆弾を手当り次第に投げまくった
ドンッ ドンッ ガラガラ
爆音、建物の崩れる音、悲鳴、色んな音が聞こえた
そのすぐあと、全体が崩れなかった家や、奥の方の家から人が出てきた
「何事だ!」
「おまえがやったのか!」
そんなことを言っている村人に対して俺は何も言わない、言ってしまえば、情が湧くからだ
「うわーーーん!!」
小さい子の泣き声…
「大丈夫、大丈夫よ…」
それをなだめる女性の声
「お前は…まさか勇者か?1度この村を助けてくれたあんたが何故こんなことを…」
正体を知って少し悲しそうな男の声
「勇者だろうが知らねぇ!村をこんなにしやがって!絶対許さねぇ!捕まえて王都に引き渡してやる!」
激怒している男の声
すべて自分が引き起こした事だと実感させられる、
「……ッッ!!」ヒュン
1秒でもはやく、この声を消さないと…
体が罪悪感で動かなくなる前に!
ザクッ ドカッ ザクッ ザクッ
「ぐあぁ!!」ドサッ
「はぁ…はぁ…はぁ…」ズサッ
思わず膝を着く、
「これで、良いんだよな…?」
立てない、膝が震えている、初めての人の命を奪う感覚、ひとつの村を潰した感覚、きっと、一生忘れることの出来ないであろう感覚が残った
「とりあえず…身を隠さなければ…」
他の村や町から人がきたら面倒なことになる、
だから無理やり足に力を入れ、その村を後にした