オフマンディ王国との交渉へ挑む。
この作品を選んで、お読で頂きありがとうございます。
この物語はフェイクションです。
物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れ含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。
オフマンディ王国の東の外れの辺境伯爵領主ギクラスはシルビを警戒しながらアディナとの交渉し、真意を探るべく話合いにはいる。
「アディナ殿はドリニアス王国との魚介類の取引がしたいという事だが、それで我が国に安全に通行できるようにしろと言う事か」
「えぇ、その通りよ、別に私は商会の商人だから販路の拡大と美味しい魚介類の取引がしたいのよ、ただそれだけよ」
「それで販路というが主に商品は何があるか教えてくれるか」
「まぁ、魔物肉と鉱石とスパイダーシルク製の生地とか後は農作物かな」
「そうか、もし良かったら魔物肉を売ってくれんか。物不足でな困っているんだ」
「まぁ、別に良いけど、それより何で国境線より離れた所にこの街があるのよ」
「えっ、それはあんた達の方が詳しいだろ、そう言えば暗黒期にそろそろ入ってるんじゃないか、瘴気とか大丈夫なのか」
「えぇ、大丈夫だからここに来てるじゃないの、まさか瘴気が原因で国境から離れた所に街を作ったという事なの、ところで、どのくらい魔物肉がいるのよ」
「どのくらいある。一応言っておくが貨幣は帝国モンドたが取引できるか」
「えぇ、帝国とも少ないけど取引はあるわ、周辺国で貴国だけよ一切交流が無いからね、そうね、今出せるのはこのくらいよ30万モンドよ」
我が国は脅威がある帝国とは基本的に取引額は抑えているけど、一応正規の値段で魔物肉の塊をアイテムボックスの中から出す。
「うん、それで買おう、助かる。これが代金だ確認してくれ」
「はい、・・・確かに、それじゃ、ここから先を通してくれるかしら」
「あぁ、俺は別段貴国と取引するのは構わんからな、一応言っておくが我が国が帝国の傘下に組み入ってから36年くらい経つ。貴国に戦争を仕掛けたのは先々代の国王だからな状況は変わっている」
「ところで貴国の特産って何があるのかしら」
「あぁ、ワインが特産だがな、後は小麦粉だが最近は過剰になり過ぎて余っている」
「ふぅん~、そうね、それならその辺りで取引が出来そうね、改めて話合いの機会を設けましょう、今回の目的は魚介類の取引だから、それでは失礼するわ」
「アッ、チョッと待てくれ、これは通行許可証だ持って行けば良い」
ギクラスは通行証にサインしてアディナに渡す。
「あら、ありがとう、助かるわ、それでは失礼するわね、サンディ、シルビ行くわよ」
私は取引先を一つ確保して次の街を目指す為に休憩場を退出すると、直ぐにシルビの背に乗って走り出す。
「う~ん、まさか神獣乗りの商人とは驚きだよ。おい、この魔物肉を肉屋に持って行ってくれ、少しは民達に行き渡るだろ」
辺境伯爵のギクラスは神獣フェンリルが走り去る様を見届ける。
「はっ、分かりました。誰か手伝ってくれ、急ぐぞ」
衛兵が直ぐにアディナから買った魔の肉の塊を速やかに肉屋に運ぶ。
アディナは辺境伯爵領の街の店先をさっと見た感じ、確かに棚の上に並んでいる野菜などの品物の数が閑散として少ないなと見て取れた。
それから私達は三つの領地の代官や領主と会い、ハーベスト商会との取引を取り付けて少量の魔物肉や鉱石を販売してオフマンディ王国の王都へ到着して宿屋で一泊することにした。
王都の街は見る限りではディアント王国の王都程でないけど、それなりに栄えてはいるけど民達の表情はどこかしら元気がないようにも思えけど、途中でこの国の特産のワインをボトルで1本だけ買った。
私達が宿屋に入ると宿屋の女将にシルビが敬遠されたしまい、私が交渉して宿賃を倍払う事で同じ部屋に泊めさせて貰った。
宿屋の晩御飯は何と言うかジャガイモと人参と肉がほんの僅か入った具のスープと塩味の効いた干魚の開き焼いたのと黒パンというメニューだった。
「うん、スープはともかく焼いた干魚の開きは意外と美味しいわね」
私は無性に魚が食べてかったので、焼いた塩味の効いた干魚の開きだけは美味しく頂いた。
因みにシルビには魔物肉のステーキを5枚をアイテムボックスから出して食べさせていたら、女将から驚かれて私の所に来て文句を言ってきた。
「ちょっと、あんた何で狼に魔物肉なんて豪華の物を食べさせてんだい」
「あ~、私に国では魔物肉は普通に食べられているわ、豪華でも何でもないもの、女将に文句言われる筋合いはないじゃないの」
「うっ、あんたどこの国の者なのさ、魔物肉が普通なんてこの国じゃ、あり得ないのよ」
「私達はディアント王国のハーベスト商会の者よ、隣国のドリニアス王国に魚介類の買付に行く途中よ」
「あんたディアント王国のって国交がない国からどうやって来たのさ」
「この子の背に乗って来たのよ、一応来る途中の街で領主とか代官と会って取引をする事を確約してきたわ、明日は一応王城へ行って商工関係の担当者と交渉する心算だけど」
「そ、そうかい、それじゃ、交渉が上手くいけば魔物肉が安く買えるようになるのかい」
「う~ん、それはどうかな交渉しだいね、関税とかの問題があるから売値が安くなるかまでは分からないわよ、それに今回のメインはドリニアス王国だもの、私達の目的は安全にこの国を通行出来れば良いだけよ」
「それじゃ、この国とは真面目に商売する気がないという事かい」
「それはまた別の問題よ、私達は商人よ儲けが出れば規模も自然と多くなるし、そうだなければしない、それだけでしょう」
「随分と割り切っているわね、チョッと商人ぽっさがないじゃない」
「そうね、私はあくまで交渉が専門よ、行商は別の担当者がするわ、その違いかな、相手との交渉には割り切って考えることが必要なのよ」
「ふ~ん、そんな物かい、私としては交渉が上手くいって魔物肉が沢山入荷できる様になって欲しいだけよ、私が幼い頃は魔物肉も頻繁に食べていたんだよ、あの頃が懐かしいよ邪魔したわね」
女将はもっと言いたい事があるけど言ったところで国の決める事なので自分達が何か言っても、どうにかなる訳ではないと引き下がる。
「それでアディは明日は王城へも今まで見たいに強気で突破する気なのかい」
「う~ん、相手の出方しだいで考える事にするわよ領主の話じゃ、直ぐに謁見できるかは分からいと言っていたけど、国王は聞く耳はあると言ってたわね、経済的に息詰まっているとも言ってたわ」
アディナは一応王家なので慎重に事を運ぼうと考慮する心算だけど、最終的には出たとこ勝負かなと思っていた。
翌朝に宿屋を出る時に女将に魔物肉を少量分けてあげると帰りにも泊まっておくれと気持ち良く笑顔で送り出してくれた。
私とサンディはシルビを連れて街中を散策しながら歩いて王城へと向い、城門に着くと門番の衛兵に王家へのお取次ぎの交渉を始める。
「あの、私達はディアント王国の王家御用達のハーベスト商会の者です。我が国の国王ルドルフ様の書簡と通商の承諾を頂きたく担当者にお会いしたいのですがお取次ぎをお願いしたい」
私は国王ルドルフ様から託された書簡を衛兵に渡し用件を伝える。
「なに、ディアント王国だと、それでそこに居る白い狼は何だ」
「はい、私の守護獣であります。神獣フェンリルのシルビで御座います。私達はこの子の乗せ乗って魔物の居る森を抜けてきましたの」
私が衛兵のシルビを紹介すると、シルビに巨大化をしたのを見せてから、直ぐに普通の狼のサイズに戻す。
「なっ、本物なのか、暴れたりしないのだろうな」
「はい、私達に手荒なマネのをしなければ王都を破壊するような事は決して致しませんわ、私達はドリニアス王国と魚介類の取引をしたいのです。その為にもこの国を安心して通行出来るように配慮して頂ければ良いのですけどね」
「分かった。チョッと待っててくれ、直ぐに関係部署に取り次ぎ、国王に書簡を渡してくる」
「はい、なるべく早めにお願いします。私達はドリニアス王国へ向かいたいので」
「あぁ、善処するから、頼むからその神獣を暴れさせるなよ」
衛兵は書簡を持って直ぐに城の方へ走って行き、もう一人の衛兵が緊張した面持ちで私達を見張る。
私達は城門の前で待つ事15分くらい経ってから衛兵が走って戻って来て、国王と謁見が認められて案内役が来てから城の中に通された。
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