エドモンド殿下との婚約破棄が成立する。
この作品を選んで、お読で頂き、ありがとうございます。
この物語はフェイクションです。
物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れ含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。
私とサンディが卒業記念パーティーの会場に入るのが一番最後となって会場へ入ると、会場は私とサンディ殿下を見てどよめく。
私とサンディが入ると直ぐに会場の中央付近で、王太子エドモンド殿下と聖女エリアナが腕を組んで私達を待ち受けていたのが見えた。
「よく来たな、アディナ・オズワルド辺境伯爵令嬢、ただ今、この時を持って王太子エドモンドの名のもとに婚約を破棄させて貰う、いいな」
「はい、謹んで婚約破棄をお受けいたします」
私は華麗にカーテシーをとり王太子エドモンドからの婚約破棄を受け入れた。
「アハハ、これが婚約誓約書だ、破棄させて貰うぞ」
王太子エドモンドは私の目の前で教会で結んだ婚約誓約書を破り捨てた。
「バカもん、エドモンド、何をしてくれたんだ」
タイミング悪く国王が会場入りした際にエドモンドの声が聞こえて、二階の観覧席から身を乗り出して叫ぶ。
「あぁ、陛下、昨日はどうも、今私のはとこであるアディナ嬢とエドモンド殿下の婚約破棄を見届けました。貴国との交易の話は無かったことに致します。こんな公衆の面前で無礼を働く王太子の居る国とは交易は出来ませんからね、これで失礼する。アンディ、戻ろうか」
「はい、それでは陛下、条件通りにさせて頂きますので、私はここで失礼いたします」
私は陛下に対してカーテシーを取り、一言告げてサンディと共に会場を後にして直ぐに別邸へ戻る。
陛下はサンディ殿下と私の話を聞いたショックと心労で膝から崩れ落ちて倒れてしまい、卒業記念パーティーは即座に中止となってしまい、陛下はそのまま王城へと運ばれて行く。
私とサンディは馬車に乗り別邸に向かい、そして待機していた護衛騎士と家人達と合流して直ぐ出立して王都を出る。
私とサンディは王都の入場門の門番から止められる事もなく、外交特権で検閲を受けずに出る事が出来たので直ぐに王都から離れると車内で談笑して、一路オズワルド辺境伯爵領へ向けて馬車を進めていく。
「ふぅ~、上手くいったね、ねぇ、アディ、いや、改めて言わせて貰うね、アディナ・オズワルド辺境伯令嬢、私とどうか結婚してください」
サンディは馬車の床に膝まつきプロポーズをしてから、私に右手の平を差し出して来てくれた。
「はい、謹んでお受けいたします。サンディ・ロイヤル・ディアント殿下、こちらこそよろしくお願い致します」
私も返事を返して、サンディが差し出してくれた右手の平に右手を添えて答えると、手の甲に口つげをしてくれた。
「うん、嬉しいよ、後は国元へ帰り、式の準備を進めようか」
「えっ、そんなに直ぐに式を挙げるの」
「うん、その心算でもう準備が進んでいるよ、陛下と王妃もノリノリだったよ、アディナを漸く義理の娘に出来ると喜んでいてね、俺とアディの結婚を反対する者は誰も居ないよ」
「まぁ、そうなの、私も頑張らなきゃね、サンディの妻としてね」
私とサンディは結婚の約束を交わすと、直ぐに結婚式の話を始める。
結局のところアズラン王国は昔から聖女を重んじる国柄で王妃に迎える慣習が根付き、国益とどららかを選択しなければならなくなると、今回の様に聖女を娶る慣習を重んじるがあまり、大きく国益を損なうことになる。
帰路の途中で馬車を引く馬たちに休息を与える為に休憩をとる事になり、アディナは侍女達が乗る馬車へ出向き旅用の服装に着替え、サンディも旅用にラフな服に着替えて再び同乗して辺境伯領へと出発する。
それから早馬を走らせて、アディナの婚約破棄が成立した事を父のギブソンに報告すると、直ちに領の入口の検問所を閉じて国内の商人の入場制限が始まった。
それからディアント王国の国王にもその事が父のギブソンから知らされて、国境警備の為の騎士団が領の検問所へ派遣されることになる。
そして使者を送られて直ちにオズワルド家にはディアント王国の辺境伯爵の地位が与えられて、アズランド王国の王家には辺境伯爵の爵位の返上の書類と共に決別状を送りつけた。
そして母の実家はハーベスト辺境伯爵から侯爵家へと爵位が変更されて、今まで以上にハーベスト家とオズワルド家とは親密な縁戚関係へと発展していく。
王都から辺境伯領までの道のりは一週間ほどで途中の街へは泊まらずに、街の近くで休息を兼ねて停車して食糧だけ買い込み野営しながらの旅となった。
下手に街に泊まると王家からの刺客に襲われたり、妨害や引止め工作されたりする危険性を配慮して、用心のために野営しながらの旅を続ける事にした。
途中で魔物に襲われる事もあったけど、私も戦力として戦いに加わり久しぶりに剣を振り暴れる事が出来たので、ストレスが発散する事が出来てスッキリした気分で旅が続けられた。
学園に通っている時でも、休日になると別邸の中庭で剣の素振りなどをして稽古は続けていたので、それ程魔物と対峙した時に慌てずに冷静に戦う事が出来た。
私としては休日に婚約者とデートなどする事もなく稽古に打ち込む事が出来たので、今思うとその点だけはエドモンドに感謝する。
倒れた国王陛下は翌日には回復して、直ぐエドモンドに引止め工作を指示したが、当のエドモンドか難色を示して直ぐに指示通りに行動せずにズルズルと時だけが過ぎていく。
私達が辺境伯領に到着した頃には、辺境伯爵領から資源の流通が抑えられた為に高値での取引となり王都では資源が不足気味となりその他の物流の物価がじわじわと上がり始める。
この国はいずれは新たな資源の購入先を探さなければならず、経済的にかなり苦境に追い込まれることになり、外貨を稼ぐには他国へ瘴気の浄化する為に聖女を派遣する方法でしかなくなる。
我が辺境伯領に隣接している領地を持つアズラン王国の領主達は、今までは我が辺境伯家へ依頼して安い料金で魔物の間引きをして貰っていた。
今は我が辺境伯家は他国となってしまったので、簡単には頼めなくなり自力で魔物の間引きをしなければならず、騎士団を整備しつつ傭兵を雇い入れて間引きを行なう必要があり財政が苦しくなっていく。
但し私が夜会の時にエスコートを頼んでいた従弟の子爵家だけは我が家の保護下に置き従来通りに魔物の間引きを行ない、子爵家にだけに我が領から採れる鉱山資源と魔物の素材などを卸して、アズラン王家からの不当な弾圧を受けない様に保護をしている。
私は実家に戻った翌日には街の中をサンディと二人でデートを楽しみ、その翌日には騎士団と共に魔物の間引きをする為にサンディと共に行き剣と魔法を駆使して魔物の駆除をした。
私も幼い頃からの想い人であるサンディと共に過ごせたのでとても幸せな気分となり、サンディも幼い頃の夢である私との結婚ができる喜びで上機嫌でいてくれた。
サンディは三日目には王都へ私より一足先に戻り、王太子の執務に復帰して、仕事の合間に私との結婚式の準備を進める事にした。
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