表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/23

第4話 魚を獲ろう!

 ザーザー!


 翌日少し回復した私に待っていたのは療養ではなく魚釣りでした。


「物凄い川ですね……」

「ええ?聞こえない!」


「物凄い川ですね!」

「あぁ!ここはね!流れが速いから落ちない様にね!少し下ると滝があるから流されたら滝壺まで落とされるよ!」


「わ、わかりました!」


 水の流れる音で全く声が届きません。私は人生で初めて大声を出しました。


「もう少し上に行くよ!そこで魚が釣れるからね!」

「はい!」


 そうして上へ登って行くと先程より流れが緩やかになってきました。


「うーん……もう少し上に行きたいけど大丈夫?」

「はい……大丈夫です。」


じ〜〜……


 何か見られて……いや観察されています。


「あの……何か?」

「無理なら無理って良いんだよ?」


「だ、大丈夫ですって!」

「顔が赤くなってるよ。足もフラフラしてるの気づいてるよね?体力がないのならここまでがいいよ。帰り道で倒れちゃうからね。」


 見透かされていました。確かにキツイです。でも、頑張ろうと思えば頑張れたはずです。ただでさえ助けて貰ってるのに更に迷惑をかけて良いはずないのですから。


「アリスは変な気の使い方するなー。友達なら困ってる時に助け合うのが当然でしょ?」

「え?」


 学校生活では輪を乱す様な事は許されません。集団訓練、学業、風紀、みんなが同じ事をしているのにそれから遅れれば教師、生徒からの罵声や叱責など当たり前なのです。


「ここでも釣れるから気にしないでいいよ!それに疲れて、倒れて、ご飯食べて、寝れば体力はどんどん増えていくんだから!さぁ!釣るよ!」

「は、はい……」


 本当の友達とは何なのか……わからなくなりました。


「まずは……えーっと……この辺でいいかな。」


 レミは浅瀬の近くに水が溜まる様に穴を掘りました。


「あの、魚を釣るのでは?」

「うん、釣るけど、その前に釣った魚を入れる場所を作らないと。これはその為の場所だよ。お魚は鮮度が1番だからね。雨が降らなければここで食べて帰るよ。」


「こ、ここでですか?」

「うん!道中で何があるか分からないからね。じゃあアリスはこれで釣ってね。餌はこれね!」


 渡されたのは渦巻いた貝でした。


「あの……これって……」

「あれ?魚釣りした事ないの?こうやってこの貝を石で砕くと中身が出てくるから……って大丈夫⁉︎」


 初めて見るグロテスクな物に私は顔が真っ青になりました。


「だ、大丈夫です……」

「嘘だー!今のは明らかに嘘だー!刺激が強すぎたの?」


「いえ、本当に大丈夫ですから……初めて見たので動揺してしまいました。」

「アリスってお嬢様みたいだね。」


「……ええ、つい先日まで貴族のご令嬢でしたから……」

「ふぅーん……その話は後で聞かせてね。それより今は……晩飯の調達だ!」


 重くなりそうな話を明るい声で吹っ飛ばしたレミは素早く餌を釣り針にかけて川に投げ込みました。


「じゃあ私は少し深い所で魚を探してくるね!」

「えっ?探すって……?」


「ん?簡単!潜って捕まえてくる!」


 そう言ってレミは川の中に飛び込んでいきました。服を着たまま……


「1人になってしまいました……」


 餌となる貝は5個……一匹でも多く取れる様に頑張ります。


「アリスー!」


 私が集中した時にレミが声をかけてきました。声のする方を見るとレミが水面に出てきて魚を捕まえていました。


「捕まえたよ!」


 そうして泳いで戻ってきて先程の穴に魚を入れました。


「幸先が良いよ!どんどん捕まえよー!」

「……はい!」


 レミを見てると元気が出ます。私は再度集中して待つことにしました。


「……来ません……」

「それは餌が取られたからだと思うよ?」


 後ろからレミに声をかけられました。そしてその手には2匹目の魚がいました。


「一度釣竿を上げてみぃ。」

「は、はい……」


 釣竿を上げると針にはもう餌がありませんでした。


「良くあることだよ。落ち込まないで次の餌で勝負勝負!」

「……はい!」


 落ち込んでなんていられません。足を引っ張らない様に頑張ります。レミさんのやった様に石で貝を砕いて釣り針に付けます。そして川へ投げました。


「アリス……肩の力を抜いて……」

「え、は、はい。」


 レミはそっと私の肩に手を置きました。そして片方の手は私の手に添えられました。


「大丈夫、もう今日の分は捕まえたんだから気負いせずにね。」

「は、はい。」


 濡れた手が不思議と冷たく感じません。代わりにほんのり温もりがありました。こうやって誰かの温もりを感じたのはいつ以来だったでしょう……


「来た!」

「はい!」


 レミの声にびっくりしましたがタイミングは間に合った様で一匹釣り上げる事ができました。


「……つ、釣れました……」

「んん〜〜……やったーー!」


 私以上に喜ぶレミに私は喜ぶとはこういうものだと教えられた気がしました。そして残りの餌は3つを使って再び再開しました。結果は3つ中1つで釣り上げました。初めての魚釣りはとても楽しいものとなりました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ