第22話 お給料
あれから1週間が経ちました。私はフレアさんのパン屋さんで働いています。
「ありがとうございました!」
私の挨拶と同時にお店のからんからんという音が鳴りました。これで今いるお客さんは0人になりました。
「お疲れ様!」
「お疲れ様です!」
後ろから声をかけてくれたのはフレアさんでした。私は会釈をしながら挨拶をしました。
「いやー!今日も売れたね!」
「そうですね。いつも綺麗に売れますね。」
「そうだね、売れ残る日の方が少ないからね。」
このお店は売れ残る事が少ないです。お昼を過ぎる頃には殆どの商品が売れてしまいます。
「勿体無いから、少なく作ってるってのもあるんだよ。」
「勿体無い……確かにそうですね。」
「売れ残ってしまうと廃棄しないといけないからね。従業員に渡そうにも今はアリスちゃんだけだからね。」
「そうなのですね。」
「という事で、これ食べてみて?」
「売れ残りですか?」
「ううん、新作よ。レミの分もあるから明日感想聞かせてよ。じゃあいつも通りよろしくね!」
そう言ってフレアさんは帰っていきました。私も店仕舞いをし、洗い物を片付けると私も戸締りをして帰ります。すると遠くから私の名前を呼ぶ声がしました。
「アリスー!」
「レミ!」
後ろにいたのはレミでした。
「どうして町へ?」
「へへん!イノシシ捕まえたから売りに来たのだ!」
「あの、そんなにイノシシというのは捕まえられるのですか?」
「うーん……わかんない!でも、捕まえれば喜んでもらえるから捕まえるよ!」
どうやらレミは生きる事よりも誰かに喜んで貰える方が嬉しいようです。
「そうですか。では、今日レミが私を待っていたのは私に喜ぶと思ったからですか?」
「な、なんで分かったの?」
「ふふふ。なんででしょうね?」
「むぅー……でも、一緒に帰れるのは私も嬉しい!だから帰れる時は一緒に帰ろう!」
私はその言葉が嬉しかったです。私はレミの手を握りました。そしてさっき貰ったパンをレミと食べながら帰るのでした。
翌日……
「はい、先週の給料!」
「えっ?1週間で貰えるのですか?」
「ううん、本来なら1ヶ月働いてだけど、今回は特別よ。生活苦しいでしょ、それに……アリスはレミに何かあげたいんでしょ?」
「えっ?私フレアさんに言いました?」
「言わなくても分かるわよ。それよりほら昨日の新作パンの感想お願い!」
「あ、ありがとうございます!」
正直早くお給料を貰えるとは思っていなかったので嬉しかったです。これでまず買うもの……それは……
「レミ……ちょっといいですか?」
「うん?何何?」
私は帰り際にそれを買いました。決して高いものではありません。でも心が大切なのです。
「いつもありがとうございます!これ良かったら使ってください!」
「これは……靴?」
「はい、レミの靴はもうボロボロですので少し大きめのを買いました。履いてみてください。サイズは合ってるはずですから。」
「おっピッタリ!なんで分かったの?」
「うーん……勘です。」
「へぇー!アリスの勘って凄い!」
というのは冗談で、本当は昨日の夜レミが眠った後に採寸したのでした。靴を履き替えると先程よりも嬉しそうに歩き出しました。そして古い靴はしっかりとレミが持っていました。
「その靴はどうするのですか?」
「取っておくよ!これも大切な靴だから!」
「そうですか、では、何か箱を貰ってきましょう。」
「いいの?ゴミじゃないの?」
「大切な物はゴミではありません。その靴が大切でなくなった時に捨てれば良いのです。」
「アリス……うん!そうするね!」
レミは少し涙を浮かべいました。それだけ大切な人から貰った靴なのでしょう。私は大切に持っているレミの靴は誰から貰ったのか聞いてみました。
「その靴は誰から貰ったのですか?」
「この靴はね、あの町のみんなからだよ!」
「えっ?」
予想もしない答えに私は驚きます。
「孤児院を脱走した時は靴なんてなかったもん。ずっと素足だったよ。」
「そ、そうだったんですね。」
昨夜レミの足の裏を見た時に傷だらけだと思ったのですが、そういう理由だからだと納得しました。
「最初は靴なんて要らないって思ってたけどやっぱりあると痛くないし、寒くないから今ではすっごくありがたい物だよ!」
「野生児過ぎますよ!次は服を買いましょう。私これからも頑張りますから!」
「じゃあ、私も頑張ってアリスに何かあげられる様になる!」
「ふふふ。では、期待して待っています。」
満面の笑みのレミに私は嬉しくなりました。私たちは手を繋いで帰りました。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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