第21話 お仕事はじめました
「では、行ってきます!」
「うん……行ってらっしゃい。」
どことなく寂しそうなレミに私は頭を撫でてあげます。
「安心してください。日が落ちるまでには帰ってきますから。」
「うん……でも、寂しい。」
私はレミを抱きしめます。
「もし、寂しくなったら町に来て下さい。私はいますから……ね?」
「うん!」
私はもう一度レミの頭を撫でて出かけました。正直私も寂しいです。ですが、このままレミに養って貰うのは行けないのです。
「おはようございます!」
「はい、おはよ!今日からよろしくね!アリスちゃん。」
町まではそんなに距離はありません。荷物を持たず道に迷わなければすぐに着きます。恐らくレミと暮らした事で体力も上がったからでしょう。
「それじゃあ、このパンを店頭に並べて貰えるかしら?種類は少ないからすぐに覚えられるわ。」
「そうなんですか?」
「えぇ、10種類しかないから。」
お店は確かに狭いですが、それでも10種類しかないのは確かに驚きました。
「あはは、確かに少ないね。でも、それだけ愛をこめてるからね。」
「はぁ……」
私は少し力が抜けてしまいました。だけどリラックスして働けるのはありがたいことです。私は位置を覚えてパンを置いて行きます。
「開店までまだ時間あるからお金の計算お願いしていいかしら?全部で銀貨が100枚と銅貨100枚有ればいいから。」
「えっ?それだけで足りるのですか?」
「足りるよ、まずそこまで売れないし、お客さんも来ないし、金貨で払う人も少ないからね。」
「は、はぁ……」
私は言われた通りにお金を数えました。金貨はお釣りになりません。なので銀貨と銅貨さえあればお釣りに困る事はありません……ありませんが、私は働く場所を間違えたのかもしれません……
「あの、そろそろお店開けますか?」
「ん?まだよ、まだ朝だもの、開けるのはお昼前からだからね。」
「どうしてですか?」
「朝はみんな家で食べるでしょ?でも、お昼は外で働いているわ。もちろんお弁当を持ってきてる人もいるけど、そうじゃない人もいるわけでその人たちをターゲットにするのならもう少し遅くても大丈夫なのよ。それに、今日はアリスさんのレジの練習をしてもらわないといけないからね。」
「な、なるほどです。」
面倒見は良いようです。まだ働いた事がありませんが、見極めなければなりません。ここで働くべきか否か……
そしてお昼を前にしてお店が開きました。するとお客様が1人、また1人と入ってきました。
「いらっしゃいませ!」
「あら、元気な新入りさんね。」
「はい、よろしくお願いします!」
「あら、よく見るとミレと一緒にいる子じゃない。働いてレミに美味しい物でも食べさせてあげるの?」
「は、はぁ……」
私とお客さんが話してると間に入る様にフレアさんがやってきました。
「はいはい、従業員へのおしゃべりは控えてくださいねー」
「あら、フレアさん、あんたに言いたい事があったのよ。」
そのお客さんはそのままフレアさんが連れて行ってくれました。なので解放された私はレジでお会計をするのでした。
お店が落ち着くとフレアさんがやってきました。
「初日おつかれー!どうだった?」
「大変でした……」
「あはは!そうだろうね。アリスちゃんかなりお客さんに絡まれてたけど、ある程度のところであしらわないと業務に支障が出るから困ったら私を呼んでいいからね。」
「ありがとうございます。でも、なるべく対処出来るようにします!」
私の言葉に少し驚いた顔をするフレアさん……
「お嬢様育ちのわりには肝が座ってるわね。」
「レミの影響かもしれませんね。」
「あはは!違いないわね!さぁ、片付けを始めるわよ。明日からはこの片付け作業は1人でやってもらうから覚えて帰ってね!」
「ええー!」
いきなりのスパルタ教育に驚きました。なので私は死ぬ気になって覚えました。そして……日が落ちる前にレミの元に戻りました。
「おかえりなさーい!」
「わっ!た、ただいまです!」
帰っていきなり抱きつかれました。
「寂しかったよー!」
「あはは……ごめんなさい。でも慣れて下さいね。」
「うぅ……うん……頑張る。」
「ありがとうございます……私も頑張ります!」
私はレミの頭を撫でてあげました。今の私がレミに出来ることはこのくらいなので……
「今日は売れ残りのパンを貰って来ました!これも今日の夕食にしましょう!」
「うん!私も今日はお魚沢山取って来たよー。」
私たちの新しい生活が始まりました。2人の時間はなかなか取れなくなりましたがそれも生きていく為には必要な事なのです。少しの我慢で未来もずっと一緒に居られる様にするために……
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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