第16話 わがまま
私はあのお兄さんに別の部屋に連れて来られた。
「ジュースでも飲むか?」
「水で良い。」
私の前に水が置かれたから一気に飲み干した。
「お前さんは嫉妬してるのか?」
「嫉妬って?」
「相手を妬むと言ったら分かるか?」
「分からない……」
お兄さんは一呼吸を入れて話してくれた。
「つまり、お前は今アリスが取られた事が不満なんだろ?」
「うん……そう。」
「それを嫉妬というんだ。まぁ悪い事ではないが不快にはなるから気をつけろ。特に初対面だとな。」
「えっ?不快になる様な感じだった?」
「あぁ、クララに対してめちゃくちゃ攻撃的だったぞ。普通にあれは怯えると思うな。」
「……そうなのか……私嫉妬してたのか……」
「お前、友達とかいないだろ?」
「いないよ。ずっと1人だったし。孤児院では裏切られたし……」
「はぁ、それでアリスに依存してたら裏切られた時またお前が苦しむ事になるんだぞ?」
「アリスは裏切らないよ!」
「本気で言ってるのか?」
その時お兄さんの眼光は鋭くなった。敵意ではなく今のは殺気……
「アリスにはアリスの人生がある。他にも外的要因でアリスがどこかへ行かなくてはならなくなったらどうする?例えばだが、今回のことでグラン家がアリスを連れて帰るかもしれない。アリスが病気になれば嫌でも離れなくてはならなくなる。」
「それは……」
「今のは例え話だ。そんな顔をするな。だが、好意は良いが依存はするな。それはアリスに負担をかけるだけになるぞ。」
「分かった。あっ……」
私は喉が乾いたから水を飲もうとしたけどさっき飲み干したのを忘れていた。
「飲むか?」
「うん、ありがとう……」
私はお水を飲むと気になる事を聞いた。
「お兄さんはもうアリスとはやり直さないの?」
「俺にそんな資格はないだろう?それにお前さんを敵に回したら国の軍を相手するよりたいへんそうだしな。」
「私はお兄さんからどう見えてるの?」
「1人で鹿を狩る怪力少女……末恐ろしいよ。全く、その内軍にでも入るか?推薦状書いてやるぞ?」
「結構です!」
そうして私は残りのお水を飲み干しました。そしてあのお姉さんとお別れするときはなるべく敵意を出さない様に笑顔で返事をした。
馬車を降りて私達は従者の人にお礼を言って歩いて帰っていた。
「アリス……手を繋いでもいい?」
「いいですよー。」
私はアリスの手を握る……アリスの手の温もりが伝わってくる。暖かい……
「レミさん大丈夫ですか?」
「うん!大丈夫だよ!アリスは……楽しめた?」
「……そうですね。楽しめたというよりは安心しました。疎遠になった友達が元気にしていたのですから……」
どこか遠い目をしていたアリスはやっぱり大人なのだと思ってしまって……私とは住む世界が違うとも思った。
「ねぇ、アリスはさ……私との暮らしは……楽しい?」
「えっ?ええ、楽しいですよ。何故ですか?」
「今日さ、改めて思ったんだ。アリスは元だけど貴族のご令嬢で、立ち振る舞いとかが全然違っていて……ここにいるべきじゃ……ないのかなって……」
「レミさん……泣いていますか?」
「えっ?なんでだろう?なんで泣いてるんだろ?」
私の目からは大粒の涙が流れていた。分からなかった。なんで泣いているのかが……
「レミさん……アルセイヌ様から何か言われましたか?」
「……うん……」
「そうですか……でも、前にも言った通りです。私はレミさんを1人にしませんから。もし、あの洞窟を出る時はレミさんも一緒です。」
「でも、そしたらアリスに迷惑をかけちゃうよ?」
するとアリスは私の頬の涙を拭きながら答えてくれました。
「今、私はレミさんに救われて助けて貰ってます。もし、町で暮らす様になった時は今度は私がレミさんを助ける番になるだけです。」
「いいの?私学力ないよ?学校にも行ってないから字も書けないし、計算も簡単なのしか出来ないよ?」
するとアリスは私を優しく抱きしめてくれました。
「安心して下さい。始めるのに遅いも早いもありません。レミが学ぼうと思うのでしたら私が教えます。私の知ってる事は全てレミさんに教えますから。だからもう泣かないでください。いつもの様に笑っていて下さい。」
「……うん!」
でも、結局泣いちゃってたんだ。でも、悲しいから泣いていたんじゃない嬉しいから泣いたんだ。アリスは本当に私のことを大事にしてくれていて、そして私を絶対1人にしないという事を。
泣き止んだ私とアリスは手を繋いで帰った。辺りはもう暗くなっていて空にはお星様が光ってた。
「私さ、今日クララさんに嫉妬しちゃってたんだ……」
「嫉妬ですか?」
「うん、アリスが取られちゃったからと、クララさんは呼び捨てで私はずっとさんを付けてるところとか……すっごくクララさんが羨ましかった!」
「確かにずっとレミさんでしたね。じゃあ……レ、レミ……これからよろしくお願いします!」
「ぎこちないよーー……でも一歩前進だー!」
私は嬉しくて握ってた手に力を入れた。
「あの、レミ……痛いです。」
「あっ、ごめん……嬉しくてつい……」
アリスにとって……私は友達で、命の恩人で……きっとそこまでの存在なんだと思う。でも、私は家族になりたい。ずっと死ぬまで私だけを見ていてほしい……わがままだと自分でも思う。でも……他のわがままを我慢するから……このわがままだけは神様叶えてください。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新もお楽しみに!
そしてこれにて第1章お終いです。ここまで付き合って頂きありがとうございました!第2章は少し時間を進めてのスタートです。そして書き上がるまで少々お時間下さい!
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