第15話 またね
朝日が辺りを明るくします。そしてそれがお祭りの終わりの合図でした。
「いやー、久しぶりに自由にやれたな。」
「だな、抑圧され過ぎて忘れていたが祭りは本来こうだよな!」
町のみなさんは大満足のご様子でした。私も初めて夜更かしをして少し興奮気味でした。
「アリスー!そろそろ帰ろー!」
「レミさんも楽しめましたか?」
「うん!ここに来てこんなに大きなお祭りは初めてだったからはしゃぎすぎちゃった!」
「あの、沢山食べた様ですが、お金は払ったのですか?」
「子供はタダで良いって言われたよー!町の子供達も無料で食べたり飲んだりしているからね。」
「そうですか、それなら良かったです。」
笑顔のレミさんは沢山食べていた様で口の周りが汚れていました。私は持っていたハンカチでレミさんの口の周りを拭いてあげました。
「では、帰りましょうか。」
「うん!」
しかし、私たちが帰ろうとした時後ろから声がかけられました。
「待ってくれ。アリス!」
そう、アルセイヌ様です。私は振り返ります。
「どうなさいましたか?アルセイヌ様。」
「俺は……どうすればいい?」
「何もしないでください。今まで通り生きて下さい。」
「……そうか。ならばそうする。だが、一度だけ俺の屋敷に来てくれないか?アリスに会いたいと言っている人がいるんだ。」
「……分かりました。ただし、レミさんも一緒です。でないとお受けできません。」
「……なぜだ?」
「レミさんは私の友達ですから。それに……目を離すと何をするかわかりませんから。」
「アリス〜〜それってどう言う意味?」
「ふはは!分かった!相手方にも伝えておこう。では、4日後に爺やが馬車で迎えにくる。それで来てくれるか?」
「……わかりました。」
私には分かりませんでした。最早天涯孤独の身、もし、両親ならば私の屋敷に送るはずです。学園の方……はあり得ません。今更謝られてもというのもありますがそこまで仲良かった方がいなかったのも事実です。
「アリス〜顔怖いよー。」
「えっ、あっ、ごめんなさい。考え事してたので……」
「そんなに心配しなくて良いよ〜〜だって、私も付いて行くんだから!」
「そ、そうですが……やっぱり不安で……」
「うーん見た感じあのお兄ちゃんはアリスをいじめる人を絶対許さないみたいな感じだったし、大丈夫だと思うよ?」
初対面のレミさんがここまで言うという事は信頼しても大丈夫なのでしょう……けど不安はやはり残りました。
それから4日後です。私とレミさんはフランクの町からアルセイヌ様のお屋敷に向かいました。
「やっぱりこの服着慣れないよー」
「我慢して下さい。貴族のお屋敷に向かうのですから正装で向かわないといけません。」
レミさんのお洋服は借り物でした。どうやらレミさんがお屋敷に行くという事を知った町の方がそれならとレミさんに貸してくれたのです。
「むむむ……付いて来たのを少し後悔してるー……」
「1日だけですから。お願いします。お姉様。」
「しょーがないなー私はアリスのお姉さんだからね!」
機嫌を直してくれた所で、アルセイヌ様のお屋敷に着きました。
「うぉーー!ようやく立てる!」
「ずっと座ってるのは苦手ですか?」
「うん……疲れないのなら常に走ってたい!」
「レミさんらしいですね。では、用事を終わらせて帰りましょう!」
「うん。」
やはりレミさんにとっては着慣れない服に来た事もない様な場所で少し疲れてきたのかもしれません。中へ案内されるとそこにはアルセイヌ様が待っていました。
「やぁ、よく来てくれた。もうお相手は待っているよ。」
部屋に案内されるとそこにいたのは……
「クララ……?」
「アリスさん!」
そうそこには昔、学園を辞めて疎遠になっていたクララがいたのです。
「久しぶりですね!元気にしてましたか?」
「ええ、あの時はごめんなさい……お別れも言えずにいなくなってしまって。」
「いいえ、仕方のない事です。急だったんですもの。」
私たちは再会のハグをしました。そしてレミさんに紹介します。
「あ、ごめんなさい。こちらはクララ・ハートさん。私のお友達です。そしてこちらが……」
「レミ・エファーです……アリスと今は一緒に暮らしてます!」
レミさんは何か威嚇をするように言いました。それを見たアルセイヌ様はレミの手を掴みます。
「積もる話もあるだろう。俺たちは外へ出ているよ。」
「えっ?別に聞かれても困る事はありませんよ?」
「ええ、私もないですよ?」
「そうは言っても久しぶりの再会だ。邪魔者は外が良いだろう。」
「わ、私は邪魔なんかしなむぐぐぐ……」
「良いから俺も彼女とは少し話したかったからな。では、また後で!」
そう言ってアルセイヌ様はレミさんを連れて部屋を出て行きました。
「なんだったのでしょう?」
「さぁ……でも、折角なのでお言葉に甘えさせて貰いましょう。」
「そうですね……クララは今どこで暮らしているのですか?」
「私はホールの町に住んでいて、お昼は飲食店で働いているよ。」
「そうなんですね。」
「そういうアリスはあの子と暮らしてるんでしょ?どんな関係なの?」
「わ、私は……」
私は今までの話をしました。レミさんに助けられて今は森の中の洞窟で暮らしているという事も……
「それは過酷な生活だね……」
「あはは……でも、レミさんと一緒に居られるのは嬉しいんです。」
「そんな、いつ死ぬかも分からないのに?」
「大丈夫ですよ。レミさんが居ますから!」
「あらあら、信用しているのね。」
「はい!レミさんは私に無理な事はさせませんし、いつも助けてくれます。」
「……そうですか。でも、無理ならちゃんと考えてね。合わせるのも無理をすると身体を壊しちゃうからね。」
「分かりました……」
それからはただただ談笑をしました。そして日が暮れる頃、私たちはお別れをしました。
「じゃあまたね。」
「はい、また……」
「レミちゃんもまたね。」
「はーい!」
先程よりは柔らかくなりましたが、やはりどことなくレミさんの様子がおかしい気がしました。私は帰ってからでも聞いて見ることにしました。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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