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guilty 28. メンヘラ女のハウスは想像以上にヤバかった

 薬師寺サンに拉致もとい招待されて辿り着いた場所は高さ数十メートルはあろう白色と赤色で構成されたお城であった。なんか大きな敷地の公園に入ったかと思ったが……エッなにこれ?配管工とピーチ的な姫がご生息しているお城かな?


 ガンッ、ガンッ。


 夢の可能性もあったため念のために自分の頭を自分でシバイて、もう一度目の前の建物に視線を送る。やはり目の前にはゲーム世界でしかお目にしたことがないようなお城が俺の眼前に広がっていた。よーし、どうやらここは夢の世界でないし、俺の頭が可笑しくなったりした訳でも無さそうだ。たとえ見間違いだとしても犬小屋をお城と間違えたとすればいよいよだからな。


「は、ハニー……ここは私のハウスじゃない。ここはイヴォヂのハウス……アッ、イ、イヴォヂって言うのは私の駄犬、ぺっペットなの……い、今はお散歩で留守中だけど……ヒヒッ」


 薬師寺サンは何故か思い切りドモリながら変質者に負けず劣らずな怪しげな笑みを浮かべつつ、俺にそう説明する。あ、はっ、え?このお城が犬小屋なの?エッ、ホッホンマに?いや、既に俺の頭がバグりそうでしょうか?(←錯乱)あと、ペットの名前が色々とヒドイな。もうちょっと可愛い名前にしたげてよ。


「いや、ど、どうみてもこの建物は貴族とか王族がご生息しているご立派な住居でしょ? こ、これが犬畜生のハウス? 王冠でも被ってふんぞり返ってんの? アッ、そ、そうか、わかった。リアルワンコじゃなくてワンコに似たような顔したオッサンが住んでるでしょ? そ、それなら、納得だなァー(遠い目)」

「は、ハニー、きょ、今日はめっちゃ喋るね。ち、違う……イヴォヂは立派な駄犬。今は管理してるメイドとか執事がいるからここで一緒に暮らしてるの」


 立派な駄犬て。

誉めてるのか貶してるのかよく分からない表現はやめてあげて?只でさえ情報量の多さに頭が爆発しそうなのに。ン?今、メイドとか執事とか不可思議なワードが飛び出てきたけれど。薄汚れた駄犬をお世話してるの?いや、薄汚れてるのかどうかは見たことないから知らんけど。こ、これ以上考えるのはよそう。本当に頭が破裂しそうだ。


「嗚呼、ナルホドデスネー(レ●プ眼)」

「ハニー、ここは私のハウスの敷地内だけど本家はここから歩いて一時間はかかるから……ヘッへい、タクシー」


 ブロロロロ……。


「お嬢様、お連れの方、どうぞ後部座席へ後乗車くださいませ」


 薬師寺サンが手を上げると、瞬時に霊柩車みたいな謎の車が俺たちの目の前に止まり、運転席から燕尾服を身に纏った謎の白髪の爺さんが出てきた。


 待って、待って待って待って?

展開が早すぎて頭がついていけない。敷地内なのにここからハウスまで一時間かかるの?そして、このオジサンはだあれ?今から誘拐されるのボクたち?


 困惑する俺をよそに押し込まれるような形で謎の爺さんに謎の車に乗せられる俺と薬師寺サン。うわあ、ふかふかクッションだあ。こんな車のクッション、ボク、はじめて。クッション童貞奪われちゃいました。


 ブロロロロ……。


 落ち着かない車内で取り敢えず気持ちを落ち着かせる為に気になることを薬師寺サンに尋ねてみることにした。


「あ、あの、薬…ハニー。失礼を承知で聞くんだけど、もしかして、ハニーってお金持ちなの?」

「べ、別に……。私はお金持ちじゃない。ママがお金持ちなの」

「マ、ママ? ま、まあ、そりゃあ、ハニーじゃなくてご両親がお金持ちなんだろうけど」

「りょ、両親違う。『ママ』がお金持ちなの。パパは窃盗歴のある只のゴロツキでパチンカスだから……お金持ちのママが拾ってきたの」


 薬師寺サンはオドオドとした様子で語る。

拾ってきたって……。エッ?普通に他人な俺に語っちゃっていいものなのそういう大事な話し?何か壮絶で悲壮な過去があったっぽいんだけど。ていうか、あなたのパパ普通にヤバくない?


「ハニーはもうすぐ家族になるから気にしないんだよ……アッ、恥ずかしい、ウヘヘ」


 心を読んだ上に怖いことをお茶漬けを頂くみたいにサラッと口にするのはやめて?


「ハッハッハ、確かに旦那様は起業した事業が失敗して莫大な借金を背負った窃盗歴のある只のゴミクズパチンカスのうん●製造機でございますが、悪口はいけませんぞお嬢様?」


 謎の車を運転していた謎の爺さんがいきなり喋りだした!置物みたいに黙って運転してたくせにいきなり喋らないでください。心臓に悪いよ。ていうか、アンタこそ自分の旦那様をボロカスに貶しまくってるじゃん。悪口はいけませんとかどの口が仰ってるの?


「で、でも……」

「でももヘチマも御座いません。奥様と旦那様がラヴホの回転ベッドや三角木馬で激しくイタしていなければ今ここにお嬢様は存在しなかったかもしれません。命ある今の感謝の気持ちを忘れてはいけませんぞ」


 良いこと言ってるけど、言い方よ。

ベッドの件はもうちょっと濁した言い方にしてあげてよ。仮にも貴方、良い歳こいたお爺様でしょ?こんなでも一応、生物学上は女子なんだよ?女子高生にラヴホとか回転ベッドとか三角木馬とかカミングアウトするのはやめてあげようよ?


「お連れの方、何分、自分は独身でございますので……素人童貞というやつでございますな、ハッハッハ」


 この空間にはデフォでエスパー能力を持ってるヤバい奴しかいないの?そして独身関係ないし、考えてる傍から素人童貞とか禁句ワードはやめて。


「そ、そう……だよね。わ、私も……ハニーと激しくイタしてハニーみたいな元気な子供をブリッとたくさん産みたいな……」


 薬師寺サンは悪魔に取り憑かれた狂信者みたいな顔つきで俺をガン見してくる。やだあ、こっち見ないで……。


「談笑してるとなんだか時間が短く感じますね、そろそろ本家に到着しますぞ」


 車を運転する変態爺さんはそう言いながら賑やかな笑顔で振り向きながら俺たちに声をかける。いや、談笑してないし運転中は前を向いてよ。


 そして、流されるままに謎の車から下ろされた俺たち。


「「「お帰りなさいませ!! お嬢様!!」」」


 ハウスの入り口に向かってアーチのように並んで待機していたメイドみたいな連中が俺と薬師寺サンを出迎えた。薬師寺サンのお家は先ほどの駄犬ハウスの二倍強くらいの日本のお城みたいな佇まいであった。ハハハ、もう驚きはなーんもないです。


「う、うん……ただいま。ママは帰ってるの?」

「「「ハイッ!! 奥様は玄関口で待機中でございます!!」」」


 エッ、代表で誰か一人で答えるのではなくて君ら全員で一斉に喋るの?うるさいんですけど。


「ママにもハニーのこと紹介したいし、さ……ハニー、愛の巣へようこそ……ヒヒッ」


 薬師寺サンは俺の手を取ってお城の入り口に導いていく。愛の巣やめたらんかい。今更ながら思い切り逃げ出したくなったが、なんかあのメイドさんたちに射殺されそうな気がして怖かったため自重した。ううっ、入りたくないよう。


「「「いってらっしゃいませ旦那様!! 良い子作りライフを!!」」」


 やかましい。


 どでかい錠前を外し中へ入ると外観の日本的なお城とは一転。洋風な赤いカーペットが敷かれ、階段まで続いていた。二階へ続く階段は左右に分かれており、何となくジメッとした空気に包まれており、腐った人間が徘徊していてもおかしくないようなホラーな雰囲気であった。なんか、昔この場所に似たホラーなアクションアドベンチャーゲームがあったような?そして、中には誰もいませんよ。あれ?絶対に中にもウザそうな女中とかいると思ったのに。


「だ~れだ?」


 突然、目の前が暗闇に包み込まれた。

え?何事?いや、ほのかな体温を感じるので後ろから両手で目隠しされたのか?誰だ、こんな子供騙しみたいなアホみたいな悪戯をしたのは。薬師寺サンか?


「アッ、うっ、も、もう~……ママ! また、悪戯して……悪戯するならパパだけにしてよ!! 私のハニーに触れないで!!」


 え?薬師寺サンの声?

ていうことは俺を目隠ししたのは薬師寺サンじゃないの?


「あは~、ごめん、ごめんってば。エキサイトしないで、ママが悪かったてば」


 パッと目から指が離れ、視界が広がる。

俺はすぐさま目隠ししたであろ人物を見るために背後に振り向いた。


「はーい、はじめましてだね」


 そこには漫画から出てきたような美少女がいた。

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