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いつもお読みいただきありがとうございます!
昨夜は予約投稿ミスをしておりました。申し訳ありません。
「クズはどこまでいってもクズよ。一度クズの境界線を越えてしまったらもう真人間には戻れないわ」
クズを連呼し、クズにあまりにも厳しいマリリン様。
「努力こそ正義だとは言っていないわ。でも、教師からお情けで出された課題さえミコの机の上に置いて自分でやろうともしないなんてほんとにクズよね」
「ヘンリー様が置いたとも限りませんが……」
「どうせ子分だか何かにやらせたんでしょう」
「あれってお情けだったんですね」
「救済措置とでもいうのかしらね。点数が少しでも足りなかったらあの課題をやったからって少し点を加算してあげる予定だったんじゃないかしら。あの先生は高位貴族に甘いというか媚びるのよ」
マリリン様は紅茶を優雅に飲む。白い手や優雅な指の動きを見ているだけでドキドキしてしまう。学園の生徒たちを見ているが、マリリン様の所作は別格で美しい。
「ミコの両親の家は警戒させているから大丈夫よ」
「え?」
「あら、心配じゃなかった? あのクズはあなたの両親のことで脅してきたのよ? 侯爵家の次男ならお金でならず者を雇うくらいできるでしょう」
「てっきり貴族の権力で何かするのかと……ならず者を雇うんですね……」
「できそこないの次男の言うことを聞く使用人がどのくらいいるかによるわね。それに侯爵に雇われているわけだから、次男坊の言うことだけで動くかしらね。親に報告されて終わりってところでしょう」
「なるほど」
お貴族様にもいろいろあるようだ。すでに領地運営をしているマリリン様を見ていると感覚がより狂う。
相変わらずデニール先生に呼ばれ、昼休みにいじめの聞き取り調査と遺跡や古代語の話をした。
「破られた教科書や壊された筆記用具の弁償はされたか?」
「はい。マリリン様が手紙を渡した翌日にザカライア公爵家に各家からお詫びの品とともにお金が届いたそうです」
「そうか……」
「マリリン様がお詫びの品は突き返していました」
「いや、なんといえばいいか。こんなに酷いことが起きていたとは……いじめどころか犯罪まがいだ」
「いえ、先生はそもそも違う学年の担当なのですから」
デニール先生は私から聞き取った内容を紙にまとめて頭を抱える。
そういえば、マリリン様はあの三家のご令嬢に私に謝るように言ってくれたんだった。伯爵令嬢以外は謝ってきたんだっけ。伯爵令嬢に関してはマリリン様が「謝ることもできないなんてねぇ?」なんて言いながら何かしていた。商会の娘二人のことで忘れていたが、あの伯爵令嬢は昨日から学園に来ていないような……? 一体、マリリン様は何をしたのだろう。
机の上に黙って何かが置かれることもなく、その日の授業は終了した。
事態が動いたのは授業が終わって馬車に乗ってからだ。
馬車酔いしない質なので公爵邸へと帰る馬車の中で本を広げていると、突然ガタンと馬車が止まった。バランスを崩し、持っていた本が落ちる。
落ちた本に手を伸ばしたところで馬車の扉が開いた。
すぐに見えたのは顔なじみになった御者さんだが、首筋に刃物が当てられ大げさに見えるほど震えている。
「おい、降りろ」
御者さんの後ろから別の男の声がした。




