14
いつもお読みいただきありがとうございます!
教室に到着する。マリリン様に拾われてから机の中に土が入ることはなくなった。
気にしていないつもりだったが、朝から土を出す作業がないのはいい。ゆっくり本が読める。
クラスメイト達からの視線を感じながら、私はマリリン様がレポートに役立つと薦めてくれた本を開いた。
授業が始まる頃になって新聞云々の騒動の意味が分かった。
昨日絡んできたエマーソン商会の娘が来ていない。新聞に商会に関する何か悪いことが載ったようだ。マリリン様がデザインの盗作をしているとおっしゃっていた商会だ。あの女子生徒はマリリン様に食って掛かるほど気が強そうだったが、新聞に何か載ると休むのか。
「あんたのせいでしょ」
休み時間になると、昨日エマーソン商会の娘と連れ立っていた女子生徒が肩を震わせて私の席までやってきた。こちらはエクス商会の娘だったか。
「何のことですか?」
「今朝の新聞よ!」
「平民は新聞を買ったり、読んだりする余裕はありませんので」
「公爵家では読んでるんでしょ!?」
そんなこと言われても。
朝からマカナ様が部屋に突撃してきて「お姉さまのペットなら身だしなみくらいきちんとしなさい!」と髪を梳いたり、メイクをしたりしてくれるのだ。メイクしたらまず一度落として「さっきのを自分でやってみるのよ!」って言われるし……マカナ様って厳しい。なので、私は薄くメイクをしている。
それから朝ごはんを食べるので新聞を読む時間はない。メイクの合格がマカナ様から出たら朝新聞を読めるかもしれないけど……まだまだ先だろうなぁ。難しいんだよね、メイク。
「読んでいないので分かりません」
「エマーソン商会にデザイン盗作疑惑がかかってるのよ! それが新聞に載って店に野次馬が詰めかけてるの!」
「?? 昨日それは中傷でそんなことはないと言ってませんでしたか?」
「っそれは」
私の言葉にエクスさんはぐっと詰まる。というか野次馬の中には被害者もいるのでは?
「真実でないなら、新聞に載っても無実だと証明したら大丈夫なんじゃないんですか?」
「あなたね! 平民には分からないでしょうけど! 一度新聞に変なことが載ったら風評被害が大変なのよ!」
いや、あなたは商会の娘なだけで裕福な平民ですよね……貴族ではないですよね。
「おっしゃる通り平民には分かりませんのでそれ以上言われても」
「まさかうちのことも記事にする気なの!?」
「そんなことは新聞社に聞いてください。記事にされて何か不都合なことがあるんですか?」
「貴族ならでっちあげるくらい大したことはないじゃない! あんたがザカライア様に変なことを吹き込んだんでしょ!」
話が通じない。
彼女は何かを恐れているようだ。マリリン様の言う通りエクス商会は違法労働をしてるのかな。それならマズいだろうが、私に言っても意味がないだろう。家に帰って親に伝えて対策を練るべきではないだろうか。
それに次の授業、もうすぐ始まるけど……クラスメイトたちはこっちをチラチラと見るだけだ。
「そもそもあんたが良い成績を取るのがいけないのよ。だからあんたはいじめられたの! 平民らしく弁えてもっと下の成績を取っていれば目を付けられなかったのよ! 自業自得なのにザカライア様に泣きつかないでくれる?」
さすがにその言葉にはムッとした。唾が飛んできたことにももちろんムッとしたが。
学園には勉強に来ているのに、なぜ勉強を頑張ってはいけないのだろうか。私のような平民には学園での成績は将来への命綱だ。成績がいいほど就職先は広がる。
「自業自得と言われても。エクスさんのお家は裕福ですし、いい家庭教師も雇えるでしょうから私よりいい成績を取るのは簡単じゃないんですか? 平民の私ごときよりも悪い成績しか取れないエクスさんこそ自業自得なのでは? 私、試験の前に筆記用具を壊されてペンがなかったり、足を引っかけられて挫いて痛みに耐えながら試験を受けたこともありますけど、あなたより成績は良かったですよ?」
私の言葉にエクス商会の娘、名前は知らないのでエクスさんと呼んでいるが……彼女の顔が真っ赤になる。
うん、やっぱり彼女も平民だ。マリリン様のような貴族ならこんなに分かりやすい表情はしない。
「確かにそうだな」
先生が来たのかと教室の入り口に視線を向けると、そこには次の授業を担当する先生とデニール先生の二人が立っていた。




