もふもふ(人×妖狐)
神社の娘とその神社の守り神の狐っ娘の話です。狐っ娘は個人的にめっちゃ好きなので、他の作品でも書きたいです。
東京都西東京市にある稲荷神社そこが私の実家だ。
稲荷神社の祭神と言えば宇迦御霊神だ。
京都の伏見稲荷大社に本山を置く、稲荷神社は全国各地にあるが、各地にある分社にはその神社を守護する宇迦御霊神の眷属神の狐がいる。
ここにもいる。というか私の隣にいる。
金髪碧眼で狐の耳と尻尾を生やした少女だった。
彼女の名前は小春、この神社の祭神の一柱。
そんなこの神社の守り神は今隣で私の肩にもたれかかってスヤスヤ眠っていた。
そんな姿が可愛くて思わず私は彼女の可愛らしい耳のついた頭を撫でてた。
「う~ん」
気持ちよさそうに小春がうなり、眠た気に瞼を擦る。
「ごめん、起こしちゃった?」
「ううん、こっちこそごめん、重たかったでしょ?」
小春は私の肩から顔を離して言った。
「大丈夫よ、気にしないで。それに小春の可愛い寝顔が見れたし」
私は小春にニカッと微笑む。
「またそういうこと言って茶化す」
「茶化してなんかいないわよ。本心よ」
「なお質が悪い」
「えー」
「えー、じゃない」
小春は神様だ。呼び捨てはおかしいと思うかもしれないので一応説明しておく。最初は私も彼女を様付けで呼んでいたが、親しくなるにつれて、呼び捨てで構わないと言われたのだ。
「いくらなんでもそれは……」と、ためらう私に、「呼び捨てにしなきゃもう会わないから」なんて言われてしまったのだ。流石にそれは嫌なので、彼女の要望に応え呼び捨てにすることにした、というのがきっかけである。
今日は日差しがさしていて、暑すぎず、寒すぎず、まさに小春日和だ。小春が眠くなるのも仕方ない。
なんか私も眠くなってきた。
「ひめも眠い?」
「そうかも」
「ならわたしが膝枕をしてやろう」
そう言って小春は巫女服で隠れた自身の太股を軽く叩いた。
「では遠慮なく」
「どう?」
「このまま寝ちゃいそう」
小春の膝枕はあまりにも気持ち良かった。
そして、いつの間にか私の意識は落ちていった。
〇
小春は自身の膝の上で幸せそうに眠るひめを優しく愛おし気に微笑みながら見る。
「まったく幸せそうな顔をしちゃって」
そして、起こさないようにひめの頭をそっと撫で、その後彼女の頭にキスをした。
〇
目を覚ますと真上にいた太陽は西に沈みかけて、黄昏色を空に描いていた。
「起きた?」
「小春?」
瞼を擦り、小春を見ると、小春が苦し気に頬を歪めていた。
「ど、どうしたの? そんな顔して」
「足、痺れた」
「あ、ごめん……」
私は小春の膝の上に頭をのっけたままだった。
「いたた……」
小春が体育座りして、自身の両足をマッサージする。
私も小春の足を揉む。
「ありがと」
小春が微かに頬を赤くして礼を言った。
「ありがとうは私の台詞よ」
私が起きるまで、ずっと膝枕してくれていたのだ。三時間以上も正座姿勢でいるなんて辛いに決まってる。
「辛かったなら早く起こしてくれてもいいのに」
「いや、悪いと思って」
私は小春のこういうとこが好きだ。悪戯好きで人を困らせることもしばしばだけど、しっかりと他人を思いやることができる。
「そんなことないから。遠慮はいらないって言った小春が遠慮してどうすんのよ。今度からはちゃんと起こして。私もそうするから」
「確かに、そうだね。わかった」
私の言葉に小春が頷く。
耳と尻尾がぴょこぴょこと嬉しそうに動いていた。
私はそんな小春が可愛くて、ついその三角形の耳を触ってしまった。
びくっ、と小春の身体が跳ねた。
「い、いきなり何を!?」
小春が赤かった顔をさらに染めて、慌てて私に言った。
「あ、ごめん、つい」
私は小春の頭から手を離す。
「……い、いいよ、別に……触っても」
「え、本当に?」
「うん」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて」
私は小春の耳を触り、撫でる。
触るたび、小春は気持ちよさげに表情を緩めた。
私はもう一つの空いてる手で小春の尻尾を触る。
すると再び小春が身体をはねさせる。
小春の尻尾はもふもふで気持ち良かった。
「ヤバい、気持ちいい。なにこれ、天国だわ。小春、私の枕になってよ」
「ひめ、それ凄い変態ぽいよ」
「それを言うなら、小春だってメスの顔してるわよ」
「そ、そんな顔してない!」
小春が抗議する。
「してるしてる」
「してないったらしてない」
「そんなに意固地になるんだったら、私がそうしてあげるわ」
私は小春の肩に片手を置き、支えにすると、彼女の唇にキスをした。
「ず、ずるい……」
小春が弱々しい声で抗議する。
言葉とは裏腹に小春の表情はもっと私を求めてるように見えた。
「小春はキツネというよりネコね」
「違うし……」
「そんな弱々しい声で言っても説得力ないわよ」
「むう」
小春が頬を膨らませる。
「えい」
不意を打たれた。
小春から私の口にキスをしてきたのだ。
小春が私の体を強く抱きしめる。絶対に離さないと言わんばかりに。
私は嬉しくなり、小春を抱きかえした。