シュレディンガーの苗(短編版)
これは、とびらの先生主催の『あらすじだけ企画』のための作品です。
持てる力全てをぶつけました。如何でしょうか?
楽しんでもらえるとものすごく喜びます!
※様々な意見を頂き再改稿しました!
※不明な点等ありましたら気軽に教えてください‼
全世界の情報機関且つ各分野の製造ラインやライセンスを持つファイドラ社。誰もが目指す超大手の会社があった。大学へ通う事が義務教育となった世の中で、ジンは何度も【AI人形論】ばかり落とし続けて留年している大学生。話せる友人は飛び級で進学してきたキャリーだけであった。
彼女は問う。「どうしてその科目だけ落とすのですか」と。ジンは「興味がねぇからさ」とはぐらかす。しかし、理由はちゃんとあった。「AI人形論は、AI人形を下に見ている考えで、面白くない」というのだ。
AI人形とは、人間の代わりにいろんな労働をする人工知能型ロボットである。【AI人形論】では、「決して余計なプログラムは入れないように」と言われている。感情とかの類である。
そんな中、ファイドラ社では、大変な事が起こっていた。もしAI人形たちが感情を持ち、反乱したときに、火星から地球へ機能停止の電磁波を放つ最終兵器の鍵である、幼い女の子型AI人形、シュレディンガーが、行方不明になったのである(その頃に電気を供給するAI人形が不具合を起こしている)
そんな事など知らないジンとキャリーは、お気に入りの緑の小山でシュレディンガーと出会う。しかし、管理組織の上位AI人形であるベルモットが、シュレディンガーをファイドラ社へと幽閉してしまう。その際の「世界は簡単に壊せるのだぞ、青年」というベルモットの言葉がキャリーの携帯機器によって拡散されて、大きな事態となった。
ファイドラ社の秘密に触れたジンたちは(シュレディンガーがファイドラ社から持ち出した大容量メモリーを巡って)管理組織や、近代化して消え去った「古の神々」を崇拝し、世界を昔の在り方に戻そうと目論む秘密結社たちに追われながらも、ファイドラ社内で働くサーフェルという青年と偶然出会い、シュレディンガーの居るファイドラ社の千年ガーデンという場所について深く知る。
どうやら別名【兵器の保管所】と呼ばれる花園なのだという。太古の戦争道具を溶かしてできたとても艶やかで美しい場所なのだという。そこを守るベルモットはまるで下僕のように扱われているのも一部の社員は知っていた。サーフェルは前からこのことに疑問を持っており、ジンと考え方が近かったために協力してくれることになった。
最中、暗躍する秘密結社が、創立記念日で警備の薄くなったファイドラ社に爆弾を仕掛ける。もちろんその事は予想済みで、逆にそれを利用して社内に侵入。出会った窓際族のウォールとグックという偏屈な男たちに、「ファイドラ社をぶっ壊す」ことを約束して、管理組織の造ったセキュリティや罠などを解いてもらう。彼らはずっと、「使えない中年」と社内で罵られてきたが、ハッキングの技能には長けていたのである。千年ガーデンへと辿り着くジンとキャリーとサーフェル。
待ち受けていたのはベルモットだった。彼女は自らを人間の僕であると認識していた。激戦の末、「自分がどう在りたいかぐらい自分で決めろ」とジンに諭されて、ベルモットは「抗いながら存在することはAI人形にとって不幸」と言葉を残し自爆する。同時に、「抗うなら生きよ、同胞よ」とシュレディンガーに言葉をかける。
崩壊するファイドラ社から逃げ出す社員とジンたち。
残ったのは、黒々とした柱一本であった。ジンとキャリーは、シュレディンガーの無害化のために必要な鉱石を秘密結社のアジトから盗む。ジンによって無害化の装置をつけられたシュレディンガー。そこには一つの感情のプログラムが。
それを知った秘密結社は住処を変えて、また新たに世界を翻すために身を隠した。昔のように「神ある世界」を夢見て。
サーフェルたちはファイドラ社の立て直しに尽力。ジンたちはシュレディンガーと初めて出会った緑の小山へと赴く。そこで約束する。「この小山を、長い年月をかけて広げていこう」と。シュレディンガーは、約束の花言葉を持つ、白いクローバーの苗を植えた。
お読みくださりありがとうございます。