いつか死ねる日を楽しみに
どうせ死ぬ日までの人生だ
楽しくもなく。苦しいことばかりで。生きてる意義を見出せず。後悔ばかりの。自分が嫌になる。いやな奴の。しょうもない。
安らいだ後の虚無感に。「人生って結局苦しい」と感じる。禍福あざなえる縄のごとし。けれど一時の安らぎと、一時の絶望と、それ以外の何もない時間。何もない時間であたしが苦しむ。「何やってんだろう」「無駄な時間」「これならいっそ」あたし以外の誰かに生きてほしい。
今日も呪う。今日も逃げる。無駄な時間を。無駄な時間から。気づいて立ち止まり。掌には何もなく。私の積み上げたものは何?無駄な時間を叫ぶなら。その手のひらにものを握れよ。ほかでもない私が言う。ほかでもない私は私を見て。「死ね」と、呪う。「価値のない」人間。掌に握らないのだろう?だから「死ね」。
人は言う。「握ってるじゃあないか」「ほら、ここに」。気づいた。見えなかったものに。ただの汚泥。握りつぶせるような。指の隙間から抜けていく。いいや、違うんだ。こんなものは。逃げた結果だと。ただの残骸だと。私は言う。興味があったわけじゃない。楽しめたわけじゃない。ただ、逃げたくて。逃げた結果だと。石ころを探して。宝石を探して。掬った汚泥を磨こうとした。その名残だと。
「それでも、握りしめていたじゃあないかと」「君の足跡じゃあ、ないかと」。言われて気づいた。ドロドロの手のひら。振り返る。不安定な、泥の石が積みあがっている。賽の河原で積んだ泥。自ら蹴っ飛ばして。またくり返す。石が見つかるまで。そのつもりで、積み上げた泥。無駄な時間と叫ぶもの。確かな、私の過去。
苦しいことばかりの。生きてる意義は見いだせず。後悔ばかりで。自分が嫌な奴の。いやになる。しょうもない。楽しくもない人生だ。だが。
無駄な時間と称した過去が。愛おしくない。わけじゃない。
今日も逃げよう。今日も呪おう。どうせ死ぬまでの人生だ。死ぬまでは生きてる人生だ。いつか死ぬのなら。死んでもう会えないのなら。この死にたくなる日々も。無駄な時間に苦しむ日々も。愛おしくなるというものだ。