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心の奥が気持ち悪い3




「まぁぶっちゃけ今回の仕事は全部深夜がやってくれるから。僕らは安心して他人のふり決め込んどけばいいよ」

「依頼しといて働けコラ」

私はその言葉に、申し訳ないが少しほっとしてしまった。正直私も殺人の加担なんてしたくない。でも全部この人がやってくれるのなら、まだ気が楽かもしれない。

「今回は毒物が身体に残らないやつを使おうと思う」

「へー、いいじゃんそれ」

「毒殺はあんまししたことねーし、今回が初めてなんだけどいいか?」

「ちゃんと死んでくれるんだったら何でもオーケー」

「ネズミは死んだぞ」

「じゃあ人も死ぬんじゃない?」

ああ、この会話には混ざりたくないなぁ。私は必死に空気になることに努めていた。はずなのだが。

「で、ここで雅美の出番ってわけだ」

「へっ?」

深夜さんが思い切り私に話を振ってきた。彼女はまるで世間話をするようにニコニコと笑顔で喋りだした。

「実はこの毒、飲む直前に液体と混ぜないと効果が薄いんだよ。そのまま飲ませも吐き気と目眩がするだけらしいし、第一まだ粉末タイプしか流通してねーから飲ませるには飲み物に混ぜなきゃなんねーし。まぁ直前っつっても十分くらいまでなら効き目あるけどな」

「それと私にどんな関係が……」

「とりあえず、ワインのタイミングがわかってるだろ。だからそこに入れるとして、入れる時バレたら終わりだろうが」

「はぁ……」

そこを貴女がうまくやってくれるんじゃないんですか。嫌ですよ私の手で人が死ぬなんて。

「つまり、そこで雅美が芸をする!」

「何でですか!」

「さすが雅美ちゃん、いいツッコミ」

私は「店長は黙っててください」という意味を込めた視線を突き刺す。

「まぁ芸は冗談だけどな。とりあえず水ぶっかけるか何かして、ターゲットの注意をアタシから反らしてくれ」

「はぁ……」

「大丈夫、雅美ちゃんならできるできる。雅美ちゃん才能あるって」

「無いですよ!何ですかその才能!」

なんだこれ、疲れる。ツッコミ入れるのすごい疲れる。

瀬川君も黙ってないで助けてよ……。完全に空気になっている瀬川君を見ると、明らかに目を反らされた。ひどい!私に丸投げかよ!

「よし、雅美ちゃんは今日から水ぶっかける練習。後のみんなはテキトーに何かしといて」

何ですか水ぶっかける練習って。そんでもって指示が相変わらずテキトーだなあ。私はこれからの。

とりあえず、瀬川君はやることが無さそうなので、ラジオ体操第二のカセットでも貸してあげようと思う。




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