表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/378

三人寄らなくても文殊の知恵3




五月二十五日、日曜日。正午。

「おはようございまーす」

いつもと同じように挨拶し、私は朱雀店の引き戸を開ける。

「おはよう雅美ちゃん」

相変わらず来客用のソファーでくつろいでいる店長が挨拶を返す。普段は朝から出勤している私だが、どうせお客さんも来ないだろうし今日は昼からでいいと言われていた。

「瀬川君はまだなんですか?」

「もう来てるよ。呼んでくれば?」

なんで私が……と思いつつも、瀬川君の部屋へ向かうことにする。ところが私が店の裏に通じる通路へ入ろうとしたその時、目の前に瀬川君が姿を現した。あやうく正面衝突しそうになる。

「あ、今呼びに行こうと思ってたんだ」

一歩下がってそう言うと、瀬川君はなぜか不思議そうな顔をした。笑って私達を見ていた店長が、こちらに声をかける。

「二人揃ったし、もう行く?」

「そうします。店長ちゃんと店にいてくださいね」

私は鞄を肩にかけ直し、店長に釘をさす。瀬川君がちゃんと着いてきていることを確認して引き戸の前まで移動した。

「行ってらっしゃーい」

引き戸を開くと店長の声が飛んできた。ここからでは見えないが、テレビのチャンネルをパチパチ変えているのも聞き逃さない。どうやら怠ける気満々のようだ。

「行ってきまーす」

店を出て背後の瀬川君を振り返る。

「じゃあ、行こっか」

瀬川君は無言で小さく頷いた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ