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三人寄らなくても文殊の知恵2




店長が解散を告げたあと、瀬川君は自室にこもるために店の奥へ消えた。私も荷物を置きにいくためすぐにその後を追う。二、三分して私が店に戻って来たときには、すでに店長はいなくなっていた。

「早っ」

スッカラカンの店内を見て思わず口に出る。まぁ、店長がいないのはいつものことだけどね。

例によって、今日もお客さんが来る気配が皆無なので、私は店の掃除でもすることにする。閑古鳥はこうも爆音で鳴けるのか。耳が痛くなってくるよ。

壁に沿って並んだ本棚にハタキをかけていると、つけっぱなしのテレビの音がだんだん気になってきた。私しかいない店内に、夕方のニュースが響き渡る。

「……消して行けばいいのに」

私はテレビに近づいて、電源を消すためにリモコンに手をのばした。そこで画面に気になる文字が映り、思わず手を止める。

「切り裂きジャック再び……?」

ニュースキャスターによると、最近おとなしかった切り裂きジャックが再び犯行を重ねるようになったそうだ。ニュースキャスターは最後に、今回起きた殺人も二ヶ月前までの犯行とそっくりな手口で、模倣犯の可能性は低いことを伝えた。

そのニュースを聞いて私の頭は混乱する。ええと、たしか切り裂きジャックはジェラートさんで……。ジェラートさんは切り裂きジャックで……。つまり、ジェラートさんがまた殺人を……?

私はジェラートさんの事をほとんど知らない。けど、私が庇いたいと思ったのは、そんなジェラートさんじゃなかったはずだ。白虎店との合同任務の時にみんなでお喋りした時のジェラートさんは、きっともう人殺しはしないと感じた。確かに私達は初対面で激闘を繰り広げた。でもあの時の彼女は人を殴っても「殺し」だけはしないように気を付けている、そんな雰囲気を感じた。

鳥山さんに聞けば、ジェラートさんと話ができるかな……。そう考えて、私は頭を振った。私とジェラートさんは、そんなに仲良くはないではないか。私が気にするほどの仲ではないじではないか。私が勝手に心配しても、きっと彼女には迷惑だ。

ジェラートさんだって、私のことその程度にしか思ってないよ。

箱の中のニュースキャスターはすでに次のニュースについて喋っている。まるで先程のニュースなんて無かったかのように、怪盗アザレアの昨夜の仕事ぶりについて話した。店にはリモコンを持った私が突っ立っているだけで、ひどく静かだった。




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