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それを奇跡と呼ばず何と呼ぼう10




「じゃあとりあえず、まずは聞き込みからやろっか」

「そうだな。立川さんの会社の近くから始めるか」

歩きながらテキパキとやることを決める二人。聞き込みは手分けして行うことになって、私は国見さんにくっついて行くことになった。

「じゃあ俺中畑さん家の方行くから」

「うん、こっちは任せて」

立川さんの働く会社、金本製菓の本社から中畑さん家のある西方面を花宮さんが、立川さん家のある東方面を私と国見さんが担当することになった。初夏で日は長いといえども、時刻はすでに七時前。私達は手当たり次第立川さんの写真を見せて回った。

「すみません、人を探しているんですけど、この人見ませんでしたか?」

「三日前のことなんですけど……」

しかし道行く人々は首を横に振るばかり。良い結果は得られなかった。

この日は九時まで聞き込みを続け、店に戻る頃には九時半を過ぎていた。

「ま、人探しなんてこんなもんよねー」 

「そうそう、ひたすら聞き込みの地道な作業」

先輩二人も明らかに疲れた顔をしており、花宮さんは大きなあくびを一つ零した。

店では店長が来客用のソファーでノートパソコンを叩いていた。が、気になる芸人が出るとテレビに注視して呑気に笑っていたので若干の苛立ちを覚える。でもまぁ、国見さんと花宮さんが殴りに行ってくれたので私はそれを傍観するだけに留めた。

「じゃあまた明日続きね」

「はい」

「明日は見つかるといいな」

「はいっ」

先輩二人はもう少し仕事をしていくと言って店に残った。なら私も残りますと言ったが、高校生だから早く帰りなさいと言われた。お言葉に甘えさせてもらうことにする。

暗くなった空にはキラキラと星が輝いていて、明日も晴れだなと思った。





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