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まことしやかに不倶戴天4
ガラッ、バコンッ。
「痛っ」
私の目の前で薄っぺらいタライがグワングワンと鳴りながら床に落ちた。
「…………」
店に入るといきなり天井からアルミ性のタライが落ちてきて、私の頭に直撃した。あの、よくコントとかで見かけるやつだ。
私は昨日と全く一緒の光景に、何も反応することが出来なかった。店の奥をしばらく見ていたが、神原さんが飛び出して来ることはなかった。私は無言でタライを拾う。そこでようやく後ろに誰か立っていることに気が付いた。
「ようやく成功したとこ見れたわ。めっちゃキレイに頭にヒットするもんなんやなぁ」
その声に振り返ると、相変わらず着物姿の神原さんが私を見下ろしていた。そしてニコリと人懐っこい笑みを作る。
店長、あなたの教えてくれた対処法は確かにその通りです。でも、もし私の意思に反して相手が関わろうとしてきたら、その場合は一体どうすればいいんでしょうか?