歪な家族
※サラッとお読みください
「この役立たずが!!何故思った通りに出来ない」
お父様がワインのボトルで私の頭を殴打する。そのせいか耳から変な音がする。
「出来損ないの分際で調子にのるな!!妹のデイジーを見習え!!お前は私の子供ではない!!」
お父様は末っ子の妹に甘い。酔っ払っていても妹には手を上げない。兄はそんな父や私達に関心が無く、助けてくれない。関わりを持つ事自体嫌がっているからだ。
お父様に首根っこを掴まれ屋敷の中を引き摺られる。そして真冬の夜、ボロボロの薄着で外に出される。
「お父様!!許して!!ごめんなさい!!お母様、助けて!!」
雪の降る寒さの中、震えながら許しをこう。屋敷の中では何が割れる音とお母様の泣き叫ぶ声が聞こえる。私の次はお母様に暴力を振るうお父様。私は寒さのあまりその場で蹲る、裸足の足が冷たく痛い。何時間も蹲ったまま、私は朝を迎えた。
朝になってやっと屋敷の中に入れた。手も足も真っ赤だ。するとお母様がフラフラと階段から降りて来た。顔やドレスで隠せない部分まで酷いアザが見える。お父様は、お母様と私ばかりに暴力を振るう。私の要領が悪いから、苛々するのだろうか。
「お母様……大丈夫?」
「ミルフィ……大丈夫よ。昨夜は屋敷に入れられなくてごめんなさい……」
「いいの……お父様は?」
「視察に行ったわ……」
お母様と私はホッと溜息をつく。私達にとっては恐怖の象徴なのだ。それから数時間後、父が帰ってきて、何を苛々しているのかは分からないが、私の髪を掴みナイフで頬を切られる。でも、今日はそれだけで済んだ。だが、まだこの屋敷には悪魔がいる。妹のデイジーだ。甘やかされて育った為か、豚の様な体型をしている。デイジーは狂ったように嗤い私を引き倒し何度も何度も私に蹴りを入れる。
「痛い、痛い!!やめて、デイジー!!」
「煩い!!全部お姉様が悪いのよ!!」
「デイジー!!辞めなさい!!」
お母様が慌ててデイジーの行為を止める。
「何でお母様はお姉様ばっかり気にかけるの!?私の事、愛してないの!?」
お母様は沈黙した。それに苛立ったデイジーは側にあった花瓶をお母様に投げつけた。花瓶が割れる音がする。
「お父様に言いつけてやる!!」
デイジーは怒り狂いお父様の元へ行った。その日のお父様はいつもより酷かった。お母様を引きずり、殴り、蹴りを入れ、そして逃げようとするお母様の髪を鷲掴みまた引きずる。お母様のドレスは引きずられた事によりボロボロで意味をなして無い。
私は震えるようにシーツに包まり無理矢理眠る。すると突然息ができなくなり、目を開けると、お母様が泣きながら私の首を絞めていた。私は何が起こっているのか分からず、お母様を蹴り飛ばし部屋の隅に逃げる。そして後から入ってきたお父様が、またお母様を引きずって私の部屋から出て行く。
(私は誰にも必要とされてないの?お母様も愛してくれてないの?)
私の心の何が壊れる音がした。
私はナイフを持ち、寝ているお兄様の心臓を目掛けて振り下ろす。兄は驚愕の目をしながら血を吐いて死んでいった。次は妹のデイジーだ。いびきをかき寝ているデイジーの首にナイフを突き立てる。返り血が大量に私に降り注ぐ。お父様が寝静まった頃、ゆっくりとお父様の寝室に入る。眠りについているお父様に私は言葉を投げつける。
「地獄に落ちろ」
ナイフで父の首を何度も何度も掻き切り殺す。あとはお母様だけ。お母様の寝室に入りボロボロになって泣き崩れるお母様を見つけた。
「お母様……どうして私の首を絞めたの?お兄様もデイジーもいたのに……どうして……どうして私だったの」
「ミルフィ……その血は……」
「答えてお母様」
「皆んないなくなれば、この苦しみから解放されると思ったの……貴女の首を絞めたのはただ近くにいたから……」
「そう……お母様……さようなら」
私はお母様に近づきナイフを心臓に突き立てる。私は血塗れの顔で涙を流す。もう誰も私に暴力を振るう人はいなくなった。
静まりかえった屋敷のエントランスで膝を抱え俯く。朝になるころには騒ぎになるだろう。私も死刑になるかも知れない。でも、それで良いのだ。私は、歪だった家族を壊せたのだから。もう暴力という名の悪夢はやってこない。これでいい、これで良かったのだと私は朝まで呟いていた。




