漫才 戦隊ヒーロー
ボ→ボケ ツ→ツッコミ
ボ「戦隊ヒーローっていいよね」
ツ「なによいきなり」
ボ「いや、憧れるでしょ誰もが」
ツ「まあ子供の時に将来は仮面ライダーになりたいとか、なんたらレンジャーになりたいなんて言ったりすることもあったね」
ボ「いや子供のときとかじゃなくて」
ツ「え? どういうこと?」
ボ「だから、目指してるから今。進行形で。ガチで活動してるんだけどさ」
ツ「いやいや、お前もういいおっさんだろうが! つーか何、俳優目指してたの? まぁ最近はそっち系から人気出る人いるけど、さすがに年齢的に厳しいだろ。だいたい今まで芝居とかそういうのやってたの?」
ボ「いや芝居とかそういうのじゃないから。オレ本物志向だし」
ツ「いや本物志向とかないから。全部偽物だからあれ」
ボ「まあ知られてないだろうね世間一般には。お前の知らないところでね、めっちゃ地球守ってるから」
ツ「知らねえよそんなん、なにから守ってんだよ」
ボ「それはもちろん、悪の組織的な?」
ツ「なんで疑問系だよ。おまえもよくわかってねえじゃねえかよ」
ボ「悪いよ~あいつらほんとに。改札とかバンバン飛び越えるから。悪だね。悪そのものだね」
ツ「なにその小悪党、スケール小さっ」
ボ「バームクーヘンだかなんだか知らんけど調子こいててね」
ツ「……それパルクールのこと? 我ながらよく拾ったわ。へ~でもパルクールとかなんかかっこよさそうじゃん」
ボ「あ! お前、さては……」
ツ「いや違うから、全然そういう一員とかじゃないから。なに構えてんだよ、なんだよそのポーズ。お前キーキー言う戦闘員っぽいぞそれ」
ボ「ここだけの話ね、ちょうど今チームの緑枠が空いてるんだよね~」
ツ「なにちらちらこっち見てんだよ? だからなんだよ、本当にここだけの話にしとけよな」
ボ「あっそう、まあそっちがそういう態度なら別にいいんだけどさ」
ツ「なんでオレがほんとは入りたいみたいな感じになってんの? はっきり言っとくけど絶対イヤだからな」
ボ「まあ強がらずに聞けよ。前の緑のヤツね、就職決まったみたいでさ」
ツ「地球の平和よりそっち優先なんだ?」
ボ「違うな、あいつは逃げたんだよ。苦しい戦いに耐えられなくなって、敵前逃亡したんだ。就職という名の現実逃避」
ツ「いや現実逃避してんのはおまえのほうだろうが! それでいい年こいてフリーターかよ!」
ボ「こっちは遊びでやってんじゃないんだよ!!」
ツ「なにいきなりブチギレてんだよちょっと落ち着けよ、気にしすぎだろ」
ボ「え、なに? てことは、もしかしておまえも赤狙いなわけ?」
ツ「なんも狙ってねえよ、なにその嫌そうな顔」
ボ「っていってもねえ~、新人がいきなり赤っていうのは無理なのよ。ちゃんと色で序列あるから」
ツ「まあ赤がリーダーっていうのはなんとなくわかるけど、その他にも序列とかあんの?」
ボ「うちの序列は赤、青、黄、桃、緑、赤、黒みたいな順番になってるから。自然と」
ツ「おい赤二人! 赤二人いるぞ!」
ボ「あ、二人目のは赤っていうか暗めの赤だから。ワインレッド。ワインレッドはマジどうしようもないヤツだから。あんだけのクズは見たことないわ」
ツ「お前にそんだけ言われるって相当やべえな。てかわかりづらいよ、でそれより低い黒ってなんなんだよ」
ボ「黒はそのうち裏切るからね、みんな密かに警戒してんの」
ツ「密かにって言うかバリバリ下に見てるよな? つーか黒裏切んなよ」
ボ「最近思ったんだけど、あと茶系のがいてもいいと思うんだよ。シニア枠」
ツ「いやいらないだろ。そういう枠いらないから」
ボ「言うて高齢化社会ですから。孫と一緒に見てるお年寄りが自己投影できるようにね。うわぁ~また茶がハブられてるわぁ~って」
ツ「ハブられんのかよ、気分悪いだろそれ」
ボ「で、そのうち茶頑張れ! ってなったらこっちのもんだよ。そこでついに来るわけね。茶にスポットを当てた茶の回が」
ツ「別にそんなもん来なくていいよ! だいたいそれどういう話だよ」
ボ「舞台は病院の待合室。そこに突如として現れる悪の組織。病人を飛び越え車椅子を飛び越えて……そこで腰痛に悩まされている茶は変身するかどうかさらに悩む。レンジャーとカンジャーの間で揺れ動く葛藤を描いたシリアスな話だ」
ツ「なんだよカンジャーって! 患者だろ、伸ばすんじゃねえよ! 腰弱いならおとなしくしてろよ!」
ボ「まあ仮に茶入れるとしたら序列はこうかな。茶、赤、青、黄、赤、桃、黒、赤」
ツ「茶リーダーかよ! あとさりげに赤増やすな!」
ボ「お前がどうしても赤っていうからさ、枠増やしといた」
ツ「一番下かよ、裏切るやつより下かよ」
ボ「じゃ、あさって朝五時にホーム集合だからよろしく。遅れるなよ」
ツ「なにそのハンドサイン。てかムダに朝早いな、だいたいそのホームって何よ、秘密基地的なアレがあるわけ?」
ボ「いやあそこの、二丁目のセブン曲がったとこの」
ツ「老人ホームかよ! もういいわ!」