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君に捧ぐ叙事詩  作者: 昊
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デート

 焦る時期じゃない。そう、まだ焦るには早すぎる。

 そんなことを考えながら僕は校門から続く坂道を歩いていた。

 もう僕とかすみちゃんが正式に付き合うことになってから五日が過ぎた。しかし悲しいことにどちらも恋愛経験無し、年齢イコール童貞、処女という具合である。まだ二人は手を繋ぐどころかデートすらしたことが無かった。

 「と、言うわけでだ。デートがしたい。」

 「なんだ、藪から棒に。」

 と答えを返してくれたのは友達の一人である、かおる君。性別は男。

 「いや、お前には話しただろ。かすみちゃんだよ。デートがしたい。」

 僕は坂を下りながら隣を歩くかおるに話しかける。

 「そうか、その前に一ついいか? リア充は死ね。」

 とかおる。中々わかりやすいオタク気質である。

 「そんなこというな。彼女が出来たと言っても結局キスしたり、手を繋いだりしなければいないのと変わらない。どうすればいいと思う?」

 僕は切実な悩みを打ち明ける。

 「わかった、わかったよ。じゃあデートに誘えば良いだろ。明日でも明後日でも。ちょうど明日が土曜日なんだから、彼女を誘ってショッピングモールでも行ってきたらどうだ?」

 かおるはやれやれというように手を振りながら答えた。

 「それは良い案だな、かおる。でショッピングモールでは何すれば良いんだ?」

 僕が訊くとかおるは何言ってるんだコイツ、というような表情になった。

 「何言ってるんだよお前。」

 実際に言われた。その後をかおるが続ける。

 「ショッピングモールなんて行ったらやることはひとつしかないだろ。買い物する場所だよ、ショッピングって言うぐらいだからな。」

 「いや待て。しかし何を買うと言うんだ? 俺はもう服とかは持ってるし。」

 「うるせえ。良いんだよ、持ってても。そこに行って一緒に買い物をすることが重要なんだ。そこで良い雰囲気になって手を繋いだりしちゃって、ああ……、リア充は死ね。」

 いかん。かおるが落ち込んでしまった。まあ今はそっとしとこう。


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