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ブレイズ ~non fiction perfect~File4 契約者

唄う幼女

役立たずなサラリーマン

信心深い老人

殺人鬼


様々な思惑と目的で動くキャラ達ですが、書いた本人も忘れてた部分とかがあって、自分でも初めてのつもりで読んでしまいます。今の俺には無いものだな…

1999年12月27日、1993年12月27日更に2019年と2020年そして2010年―

それらの『時代』の少なくとも一人がとある森の中で消息不明になっている。

後に通報があり、警察や自衛隊などが森を調査に入ったものの、行方不明者がそこにいた証拠を何一つ上げることは叶わなかった。

しかし、それは現代の警察の無能さや怠慢とは異なった理由からである。

それを知ることになったのは、たった一つの生還者の紡いだ言葉だ。

生還者はこの失踪事件をこう語った

『誰も知ってはならない事実がある。関わる者は消えた者と同じ運命を辿ることになるだろう

我らは神の威光に……いや、神によって辿る筈の運命を狂わされたのだ……!!』

語り手の声は、怨嗟と恐怖に満ちて、言いながら助かった自分自身に安堵していた。

これから語るのは、その森中で何があったのか、その一部分を伝える物語

non fiction perfect 一切虚飾の無い真実 である。

嘘にまみれた世界に生きる者達よ、活目せよ。

嘘の無い、運命を翻弄されし者達の真実の声を聞け。




森の中央部


月宮 夢観(5)FILE


12月27日 11:47


そこは『神の威光』が煌めく場所。白衣の科学者達が先取りして研究をしていた場所だ。

しかし、科学者が気付かなかった雨がとうとう止んだ頃、彼らは一人もここにいなかった。

そこにいたのはたった一人の幼女。彼女もまた、森の儀式に呼ばれた選ばれし者。

幼女はその場所に何一つ苦労無く辿りついていた。彼女は召喚と同時に『神の威光』の目の前にいたのだ。

その時点で儀式の勝者は彼女ということになるのだろうか?

しかし『神の威光』は幼女に何一つ反応せず、幼女自身も『神の威光』に何の興味も示さない。

ただ、透き通る鈴の音のような声で彼女は唄っている。


「先後濡れる 血潮の涙 人々は屍に帰る

金色の雨 まだまだ濡れる その命還ることも無く ♪」


彼女の歌声が森に響く、耳ではなく心に。

この唄を聞いた時、そこにいた全ての選定されし者達はそれぞれの反応を示した。

この唄の意味を読み取る者、歌の美しさに惹かれた者。

そして、地に伏せる『愚者』たち。


「咲き誇れ 生命を燃やし求める希望 朽ち枯れるだけ

常闇に堕ちるは 絶望の『愚者』であり 知りゆけば

また 屍に泣いて…… ♪」


彼女の唄には様々な意味が含まれた。

選定されし者達へのヒントと答えが。


「無知なれば 屍鬼の声が また一つ増えていく

絶望はどこまでも お前達に付きまとう 希望は闇に呑み込まれん

さあ 歩み進め 時に止まり伏せろ 前に進め這ってでも

お前の『奇跡』を 望むなら~ ♪」


そして最大の意味。儀式開始の合図。

この唄が終わった時、総ての準備は整った。

時は11:47の時。

バラバラの時間帯に現れた選定者達は、この瞬間を持って儀式に身を投じることになる。




ブレイズ ~non fiction perfect~ ファイル№4 全ての『契約者』




場所:???


11:30


FILE 全ての『選定者』達

・青葉 風音 (11)

・速水 レオ (24)

・松田 健一 (30)


今この瞬間に、全ての選定者達が集められている。次々と召喚された選定者達は、何故自分達がここにいるのかを知らない。何故自分なのかを知らない。そのために伝える必要がある。このまま何もなさずに犬死させることが召喚者の思惑では無いからだ。

ここは森とは異なる場所。『幻想の庭園』だ。森に呼ばれた選定者達は、来た時と同じように、いつの間にかその場所にいた。

「………今度はオレはどこにいるんだ…?」

最初に言葉を発したのは青葉 風音だ。

帽子で半分隠れている目で辺りを見渡す。

「あ、あれ?いつの間にこんな素敵な庭に出たんだろう?」

その少し離れたところではいつの間にか庭園のバラの花壇のそばに立っていた速水 レオが。

「くっそおおーー!!どこにいるんだよ総司ーー!!オレを置いて行ったなんてことないよな!?

出て来いよおおーー!!!泣くぞコラー!」

レオのいる花壇の隣では、松田 健一が四つん這いになって見苦しく嘆いていた。

「あれれ?オレはたしか秘境の滝にいたハズなのに、何で人の家の庭があるんだ?おかしいぞ。

壁も柵も見なかったのに……そこの泣いてる人―――は話せる状態になさそうだ。

そこのキミ、ここはキミの家なのかな?」

速水 レオは、泣いている松田を放置し冷静な状態の青葉 風音に話しかける。

「…………知らん」

「そうかい?じゃあここは一体どこなのか知ってるかい?」

「………俺が聞きたい」

大人としてなるべく友好的に会話を試みる速水に対して素っ気なく一言で返すシオンは、ついさっきまで一緒にいたはずの少女の姿を探すだけで突然現れた二人の大人には見向きもしない。11歳の少年はそもそも少年グループのサブリーダー。困った時に大人に頼るという選択肢を持たない。否、そもそも大人を敵として認識している。突然に現れた大人に僅かばかりの安堵の気持ちも無い。

「困ったなあ…あの、すみません。ここはいったいどこなんでしょうか?」

少年との会話が難しいと思い、一度はそっとしておいた中年男性に声をかける。

すると男性はいままで二人の存在に気付いておらず、歓喜の声を上げた。

「おおー!!あんた日本人か!助かった!オレはさっきこの国の科学者共に銃向けられてここまで逃げて来たんだ!!ツレが挑発したせいで撃ってくるわオレ達は離ればなれになるわで最悪だったんだ!!」

「銃を向けられた?もしかしてクマと勘違いされたのではないですか?

昔この近くの村の人達は命がけで巨大なクマと命がけの戦いを一週間も続けていたらしいですよ」

「クマ!?冗談だろ?オレは銃だけじゃなくクマにまで警戒しなきゃいけないのかよ!?」

「……………」

(――発砲された?あの森の中で?何で俺は銃声一つ聞こえてないんだ?)

速水と松田の会話を聞いていたシオンは、その中でいくつか気になる点を見付けていた。

「おいおっさん。あんたこの国の科学者に撃たれたって言ったな。

ここがどこの国か分かるのか?」

「あ?だれがオッサンだ。生意気なガキだな。目上の人に対する口のきき方を知らねえのか?」

強気に弱く弱気に強いスネ夫論理を持つ男、松田 健一は、自分よりも小さく幼いシオンには強気で喰ってかかる。

「ここはどこだ?日本人ジャパニーズのおっさんがこの国って言うからには日本ジャパンじゃねえな?」

「おいガキ!人に物を聞く時はそういう態度でいいと思ってんのか?大人舐めてんじゃねえぞコラ?」

松田の大人げない発言を完全に無視して話す風音に、更に小物風を吹かせて脅しかける。

「ちょっといいかい?きみは一体何を言っているんだい?ここはちゃんと日本だよ?」

「おいおい!!アンタ何言ってるんだよ?ここはイギリスじゃねえか」

「え!?そんなことはありませんよ!ここは日本です!」

二人の大人が異なる真実を主張する。どちらが本当の真実なのかを知る術は第三者にはない。

「……………」

(ふん……どっちも嘘を付いてるわけじゃ無いな……やっぱりこの森は何かが狂っているんだ)

しかし青葉 風音は例外だ。この状況でも真実が理解出来る。しかしそのシオンにもこの森の真実までは分からない。

(俺はステイツにいた。こっちのチャラいのは日本でオッサンはイギリス。

しかも二人とも自分達がそれぞれの国にいると疑っていない。

そして響 愛美が言っていた。鳴海 翔護は俺の年齢よりも一つ上の年だと。

バースデイで言えばチーム最年少であるあの翔護が……だ。

ここは、いったいどこだ?)

それまでの情報を整理していた風音は、自分達がいた森が普通でないことに気付いている数少ない少年だ。

しかし、まさかそれが『誰もいない場所』から話しかけてくる声が聞こえるとは予測できてはいなかった。

≪聞け!選定されし者達よ。ここは『幻想の庭園』である≫

「だ、誰だ!?さっきの科学者どもか!!」

「オレ達の他にも誰かがいたのか?」

「………何者だ。答えろ」

突然聞こえてきた声に、三人はそれぞれの性格が表れる反応をした。

未知の何かに怯える松田。

まだ誰か人がいる可能性を考える速水。

そして、今の自分の疑問の答えを知っている者と推測した風音。

≪我はこの世全ての『奇跡』を宿す者。神である。ここは『幻想の庭園』である。汝らのいた儀式の森とは外れた世界上にこの儀式の為にのみ創造された集いの庭≫

今回の場合、正しい推測をしたのは青葉 風音だった。

しかしその風音でも予測のつかないことを、この声は告げる。

≪汝らはこれより、その生命を賭して『神の威光』を獲得してもらう。

『神の威光』無くして、儀式の森を出ることは叶わず、また元いた場所に還ることも叶わぬものと知るがよい≫



場所:異次元の庭園



・鳴海 翔護  (12)

・刈野 真   (32)

・鷺ノ宮 絹羽 (18)

・浅倉 仁    (25)

・ミハイル・クック・ダルタニアン(72)   



「………つまり、殺し合えってことだよなあ?」

『幻想の庭園』で青葉 風音達が聞いたことと同じことを同じタイミングで聞いた5人の中の一人。浅倉 仁は不敵な笑みを浮かべながら声の主に話しかけていた。

「お若い方、アンタこの異常な状況に他に思うことは無いのかい?」

浅倉に話しかけたのは猟銃を肩に掛けた高齢の老人、ミハイルだった。

「……なんならお前からやり合うか?ガキや女。しょぼくれたサラリーマンよりはやれるだろ?それとも…その銃は飾りか」

静かな口調で挑発するような声色でミハイルを煽る浅倉。獲物を探すようなギラギラした目が猟銃を捉えて離さない。

「………止めておこう。弾には限りがある。それに子どもやレディーに見せるものでもない」

今にも拳銃を抜きそうな雰囲気の浅倉に対してミハイルは年長者の貫録でソレを抑制させる。

≪いや…見せてもらう≫

しかし、年長者の抑制を無視する神の声。

するとミハイルは手を組んで膝を折り祈るように神に伝える。

「………神よ、試練ならばどうかこの老体めにお与えください。

ここに集う者達はみな年若い。まして年端の行かぬ子どももおります。

どうか今しばらくあなたの試練をお与えになるまでの猶予をお許しください。どうか…どうか……!」

≪ならば、汝が護りながら戦うがよい≫

「それでは結局は血を見せてしまいます――!!」

特別扱いを認めない神の声と、意見を曲げないミハイル。

いつまでも続きそうな眠たくなる問答を、それまで黙っていた少年が一蹴した。

「いつまでツマンネー話を続けるつもりだよジーサン」

その声にその場にいた全員が振りかえった。

「神さまだの血だの。戦いに殺し合い……悪いがジーサン。そんなモノは、もう見飽きるくらい関わってきたよ」

年端もいかぬ子どもが自らの人生を語るその目は冷たく沈んでおり、普通の子どもとして幸せな人生を送れていないことを悟らせた。つい先ほどまで少年と一緒にいた絹羽は、驚きのあまり我が目を疑う。

目の前にいる少年が、本当にさっきまで自分が話していた少年なのかと。

「少年、キミは何を言っているのだ!本当の戦いはマンガのヒーローようにはいかないのだぞ!?」

「そうだな。たしかにそうだったよ……さあ、腰の拳銃おもちゃも抜きなよニーサン」

皆が唖然としている中、ミハイルの努力を無駄にする一言を浅倉に告げた。

「………お前はオレと殺し合えるのか?」

ケンカを売られた浅倉の表情は以前狂気の笑みを浮かべ、瞳にはそれまで見えなかった殺気が宿る。既に戦闘態勢だ。

「止すのだ少年よ!殺し合いなどなんの意味も持たないものだ!!

ああ神よ!どうかこの二人を止めて下さい。あなたは殺すことを十戒として我らに戒めたはず!!」

殺し合おうとする二人を止めようと神に懇願するミハイル。

「神の決めたことなんか知るもんかぁ。ああ…俺は戦えればそれでいい」

浅倉の言葉にクスリと笑うと、翔護も応える。

「そうさ。神はただ祈る者などに力は与えない。命を掛けてでも生きようとする者にのみ、面白がって力を与えてみるのさ。単なる気まぐれでね。だから俺は……生涯を悪として罪人としての道を歩んででも生きると決めた」

成人の男性と少年の体格差は比べるべくもない。痩せ型の浅倉 仁と比較しても、鳴海 翔護との身長差は30㎝は下らない。

しかしその体格差を埋めて余りあるだけの殺気を、対峙した浅倉だけでなくその場にいる全員が感じ取っていた。

≪その力は揺るぎ無く我の与えた力である。鳴海 翔護。汝の『戦いの物語』において一人の女をを護るために契約によって宿った力。『重憧』(ちょうどう)である≫

「あんたがオレ達以外にも肩入れしてたってことは分かったよ。つまりここにいる奴らは同類なんだな?」

≪否。其は汝とは異なる『選定者』なり≫

「神よ『選定者』とは、我らのことなのですか!?」

≪然り。あの森は『選定者』の中から選ばれし真の選定者にこそ与えよう。『神の威光』を…世界を思うがままに創世し直す四柱の『奇跡』を!!≫

「世界を創りなおす?現代の下らねえ雑魚を皆殺しにする『戦乱の時代』に出来るのか?」

神の言葉に興味を持った浅倉が神に問う。

≪無論。総ての願いが貴様の底より這い出てこよう≫

「神よ、あなたはご自分の創りたもうた世界を破壊するおつもりなのですか!?」

≪ミハイル・C・ダルタニアンよ。生命を生み出した父として、我は決めたのだ。

息子達の思う世界を見てみたいと。善と悪を区別せぬ。ゆえにミハイル。信仰に厚い汝と戦いと殺戮を望む浅倉を共に同格の『選定者』とする。汝の最後の信仰を、父に見せてくれ≫

「………分かりました。主よ。私は信仰心にて、必ずや創世に携わって御覧入れます」

(ああ。主は永きに渡る世界の君主としてのお勤めにお疲れであらせられるのでしょう。

ならば主にお休み頂く時間を稼ぐために、私は覚悟を……決めます。

『永遠の楽園』を創世するために)

≪ならば、先に森へと行くがよい。覚悟を決めし者達よ≫

神の声と共に浅倉とミハイルに光が降り注ぎ、天へと昇っていく。儀式の森へ行くために。

浅倉は気に入らぬものを虐げるために。ミハイルは隔たりなく癒す為に。

それぞれの願いを胸に、戦場へと昇っていった。

「あの、翔護さん。この声の方が神様なのですか?」

庭園に残った者達が三人になり、それまで黙っていた絹羽が恐る恐る口を開いた。

「…………さあ、どーなんでしょうね~??俺も詳しくは分かんないんスよ」

神によって浅倉と離された翔護は、今までのことが無かったかのように最初に絹羽に会った時と同じ態度で話した。それを見た絹羽はほっとしたように胸を撫で下ろした。

「翔護さん。あなたはどうするのですか?」

「俺は、そうだな。特に望みらしい望みも無いんスよね。

だから取りあえずはあの森にいる仲間と合流するのが一番の目標かな。絹羽さんはどうする?」

「わたくしは、家には帰りたくありません。ですので、しばらくご一緒させていただけませんか?」

「うん。決まりだ。そこの放置プレイのオッサンはどうするんだ?このままじゃ蛇柄か宗教狂いのジーサンに撃ち殺されるぞ?」

「わ、わたしは何もしたくない!!せっかく会社を辞めて来て自由の身を満喫していたのに何でこんなことになってるんだ!?」

「知らんよ。それがあんたの運命だと思えば?」

「くそ~~!!!わたしは『働きたくない』し『使われる』のもまっぴらなんだ!!

キミ達!全力でわたしを守ってくれ!!嫌と言われても付いて行くからな!!!」

「ええ~?ちぇっ、聞かなきゃよかった」

こうして、異次元の庭園から3つの勢力が再び森に解き放たれた。



場所:時空の庭園

・安堂 総司(30)



≪他の『選定者』達は皆、儀式の森へ還っていったようだぞ。『探偵』の『選定者』よ≫


「ふん、そうかい。だが俺にはまだ幾つか聞きたいことがある。答えてもらうぞ神よ」


その他の『選定者』が『庭園』から去ったあと、たった一人で『庭園』に残り続けた男がいた。

探偵 安堂 総司だ。

彼の職業の『探偵』とは難事件を解決するホームズ的なものでも、犬猫探しの地味なモノとも異なるモノ。

神代より継がれた神秘を解明することにある。

その彼が今不可視とは言え神の声が聞ける位置に居る。この好機を逃すまいと、彼は一人庭園に残ったのだった。

「この戦いでお前は何を選ぶ?」

≪我が『選定者』に望むのは、新たな『神の子』の継承である≫

「神の子?つまりはお前の子か?」

≪否。『神の子』は『神』に成りうる存在にして、我と異なる原初を等しくする存在である≫

「………なるほどな。それで、一体何人の選定者が召喚されたんだ?」

光の中から人物のデータが表れる。

≪伝えよう。まずは――


浅倉 仁(25)

目に映る全ての人間を敵とみなし襲いかかる狂気を持つ者。単騎にて敵軍を滅する『殲滅者』(ジェノサイダー)


ミハイル・ダルタニアン(72)   

英国の森に住む殉教者。牙をむく者を狩り取る『狩猟者』(ハンター)


鳴海 翔護(12)

人として生きる未来の全てを対価に『重憧』を得し者。あらゆる害悪を見抜き払う『守護者』(ガーディアン)


刈野 真   (32)

人間社会から離脱することを望みし者。己が手を汚さず観戦する者『傍観者』(ウォッチャー)


鷺ノ宮 絹羽 (18)

生まれ育った家督を放棄し自由を求める者。己が手で望みを掴む『戦乙女』(ヴァルキリー)


速水 レオ (24)

女性を射止める見目良き者。しかし迷い込んだだけの飛び入りである。


美月みづき 流世るせ(10)

同じく迷い込みし者。異なる時代にて『魔術』を探求する名家の子息だが術はもたぬ。汝が同類也。


松田 健一 (30)

汝が相棒である。


響 愛美(11)

平穏と幸福を望む者。愛情を持って彼の者に接する『慈愛者』(マリア)


ジェシー=ホームズ(24)

英国の『魔術』の家系の生まれである。凡才であり修練で実を結ばせし『魔術師』(ウィザード)


青葉 風音(11)

神魔族を除く万物の声を聞く者。其を持ちて自軍を勝利に導かん『先導者』(リーダー)≫


「何だこれは?さっきの集団の中にもこどもがいたが、義務教育も終えていないような年齢の子どもが5人はいることになる……これがお前の言う儀式なのか?」

≪そうだ。安堂総司。年齢など問題ではない。彼らは神に選ばれし選定者。

いずれも神の力を受け取りし『契約者』(リンカー)である。

特に『守護者』鳴海 翔護と『先導者』青葉 風音は、同じ時代に生きながら全く異なる力の得かたをした稀有な『契約者』だ。汝の力を持ってしても負けるかもしれぬ天才である≫

「………なるほどな。つまりあの森にいるのは皆『違う時代』から喚ばれた人間か……時を操り同じ場所に召喚することなど『魔術』を使ったところで出来ることではないな」

≪然り。魔術を用いて叶わぬ願いを叶えるが『神』。人の抗えぬ運命を変える力……ゆえに其は『奇跡』(まほう)であり、神にのみ存在する力である≫

「………」

≪汝の霧は晴れたか?≫

「……ふん…」

≪なれば送ろう。戦場の森へと≫

再びあの森へ送られることになった安堂 総司は自身の装備を確かめる。

胸中の拳銃。弾丸。数本の投げナイフ。余念はなかった。

「……ん?」

しかし一つのものが、総司の思考を阻害する。

(なんだこれは?)

総司の持ち物にはなかったもの。金を素材に12種類の宝石で装飾された懐中時計だ。

自分の持ちモノではないそれに疑問を抱きながらも、それを言及する暇もなく『契約者』(リンカー)最後の一人は儀式の森へ送還されていった。

≪さあ始めよう。終わりの始まりを。勝ち残った者が勝者だ≫

自身の『創造』した庭に全ての『契約者』(リンカー)を送った神は邪悪な笑みを浮かべる。

今後起こりうる全ての展開に期待するように。

≪さあ、気骨を見せるが良い。『我が子』達よ。

惰性に生きる者に用は無い。戦えぬ者は死ね!仕分けの……始まりだ!!≫




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