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異世界英雄譚  作者: ホルムアルデヒド
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世界の違い

女神様について行きながら街の景色を眺めること5分くらい。

俺には二つ気付いた事があった。



それは、このハイデという街が俺の世界の中世よりも発達しているという事だ。



世界史の教科書に載っていた中世のヨーロッパの街並みは切り出した石が使われた石造りの二階建ての家が並んでいた。


だが、このハイデの街並みにある石造りの家では使われている石が滑らかに加工されたり、細やかな模様が刻まれていたりしている。



また、今まで気づかなかったが道には道路照明灯が建てられている。

これが、中世より科学技術が発展しているという事を明確にした。


まぁ、この世界には魔力というものがあるようなので、魔力で光らせているのかもしれないが、そうであっても中世にできなかった事が出来るのだ、中世より発展しているのは変わりない。



これは知識で無双するのは難しくなったなぁと思ったがもう一つの気付いた事に比べればショックは薄いものだ。




そのもう一つの気付いた事とは...





「おいてめえ!店の商品はお前のゴミみたいな命より大事なんだって教えてるよなぁ!」


店の主人らしき人物が商品に果物を落とした人物に罵声を浴びせると共に顔を思いっきり殴った。



殴られた人物は「申し訳ありません...申し訳ありません...」と謝罪しながら落とした果物を拾い集めるが、

主人らしき人物は怒りが収まらないのか殴るのをやめない。



現代なら異様な光景だが、この光景は歩いてきた5分間の中で何十回も見たものなのだ。


奴隷制度は中世にはあったの初めて知っていたが、奴隷がここまで酷く扱われるとは知らなかった...



俺は今まで人権というものが存在している世界で生きてきたのだ。

あんな風に人権を無視するような行為が当たり前に行われているのは、知識で知っていたとしてもやはり衝撃だったよ



一つのミスで何度も殴りつけるのは確実に懲罰の域を超えている


かわいそうに...



そんな事を思っていると、主人らしき人物が俺を見て少し驚き、殴るのをやめた。



「おぉ、これは勇敢そうな騎士さま!どうですウチの果物?新鮮なものを揃えていますよ!」



これも歩いている中で、何回かあった事だ。


彼氏らはミスリル一式を着た俺を見て、騎士という社会的上位者だと勘違いしているのだ。



こういう風に社会的上位者に見られると、女神様が外出する時にミスリル一式を着ろと言っていた理由がよくわかる。



それに人が媚びて来るのも、正直心地がいい。



今は金が無いのでやんわりと断って女神様に付いて行く。



しかし、今みたいな事が頻繁に起こっているなら、人権の意識はまだ浸透してないみたいだな。



この事は俺が英雄になるのに何か役立つだろうか





また5分くらい歩くと一際大きな建物が見えてきた。

建物の外壁は年季の入った石で作られており、威厳を感じさせる。

建物の前には掲示板が建てられていて、そこには何人かの人が集まっている。



たぶんここがギルドだろうがなん一応聞いておこう。



「女神様、ここがギルドですか?」



「はい、ここがギルドですよ」


ついに来た。

ここから俺の英雄譚が始まるのだ。

ギルドの正面入り口の前に立ちギルドを見上げる。



今まで俺の活躍の場は無く、嫌な事ばかり起こって、幸せな気分になる事なんて無かった俺の人生が変わる...


いや、ここから俺の人生が始まるのだ。


「ほら、そこに立ってると他の人の邪魔になりますし早く中に入りましょうよ」


他の人達の邪魔になっていた俺は、女神様に手を引かれてギルドの中に入った。




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