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異世界英雄譚  作者: ホルムアルデヒド
1/5

始まりは帰り道で

俺が生まれ落とされた、この世界が残酷だと気付いたのはいつ頃だろうか。


俺はいわゆる落ちこぼれという奴だった。


運動もできなければ、勉強もできない、喋れば空気を悪くする。

だから他人と会話する事も減って行く。




唯一の取り柄といえばネットサーフィンで得たネットの知識だけ。



そんな俺が友人なんてできる訳も無く、小学校から高校までの友人は0



全く喋らない運動音痴である俺は普通なら虐められる立場にあっただろう。


ただ、幸運にも俺の周りの人たちは優しかった。

友人ではないにしろ俺を虐めるような奴は俺が今高校に入るまで1人も出会わなかった。



普通なら虐められる立場にあった俺を虐めずにいた高校までの同級生達の優しさには本当に感謝しかない。



けれども、友人のいない生活というのは非常に苦痛である。

例えば体育の時間のペア作り...相手が居ないので仮病で見学


昼飯の時間...食う相手が居ないので便所飯


宿泊学習及び修学旅行も仮病で休んだ。





虐められる事がなかったのは幸運だったかもしれないが、高校までの人生の中で楽しかった記憶というのはネットサーフィンぐらいである。








つまんねえな、俺の人生って。







そんな事を考えながら歩く学校の帰り道は、いつもと代わり映えしない、少し薄暗い景色であり、2年近く見続けた非常に退屈な光景だ。




あと1年で卒業だっていうのに自分の進路をまだ決めかねている自分の将来は、きっとこの景色なんて比べ物にならない程に真っ暗だろう。


どこの大学に行くのか、どの学科に進むのか、同級生のほとんどが自分の将来を決めている中で1人将来から目を背ける俺は紛れもない落ちこぼれだ。




ああ、こんなを考えてると本当に気分が落ち込んでくる...






いや、そもそも俺に友人のがいないのも、俺に勉強の才能も運動の才能もないのも、俺の将来が真っ暗なのも、この歳になるまで楽しい記憶がネットサーフィンぐらいしか無いのも、その他諸々の俺に降りかかってくる嫌な事全て、一つの才能も寄越さなかった神が悪いんだ!






だから神!俺を異世界にチート付きで転生させてくれええええ!!!!!



















......





いや、こんな事考えても虚しいだけだ...

正直チート付きで異世界に転生させて貰っても他人とコミュニケーションが取れるかどうか...

多分「一緒に居ても楽しく無いけど、強いから一緒にいてやるか。」みたいな関係になっちまうんだろうなぁ...






でも、もしも異世界転生とかさせてもらったなら...

今までの進学とかとは比べ物にならない位環境がガラッと変わるんだから、もしかしたら他人とのコミュニケーションも、もっと上手くできるようになるかもしれないな。



それに異世界転生って言ったら何かしらの特典が付いてくるものだから、運動音痴な俺でも無双できるに決まってる!


これに加えてもう少しコミュニケーションが上手くできるようになれば、俺の人生が180度変わるはずだ!




まあ、これも異世界転生が現実のものだったらの話なんだけどな...

日本には八百万の神がいるって話なんだから八百万のうちの1柱でも俺の願いを叶えてくんねーかな....












「異世界転生ですね!良いですとも!」



「はい⁉︎」






そんな、間の抜けた俺の声と共に俺の意識は無くなった。



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