救命胴衣は枕付。
カポック、救命胴衣。
これはタイムスリップした艦の副長が軽く着流していましたね。
ハッキリ言ってあれは怒られます。
カポックを着用する時も素早く着用しなくてはなりません。
なので基本、クロスさせたお股に通す紐は繋いだままで、着用する時上から足を通します。
そして着こんだらチャックを閉めて同紐のフックを止めてから、首元の紐をしめます。
これで出来上がりです。幹部は背中に「航海長」とか「砲雷長」とか書かれてますが、私達は番号が振られています。
当然夏は暑苦しいですが冬は暖かいです。ぶ厚いし首回りは枕の様です。
これを着けて海へ飛び込んだことは無いので、どんな感じに浮くのか分かりません。
救命胴衣を着けるのは哨戒配備と戦闘配備の時です。
思い出します、初めてカポックを付けて見張りに立った時の事を。
慣れて来ると何時に起こされようがハッキリと目が覚めるのに、あの頃はー。
「おい、寝るな!」
「はっ、いえ、寝てません」
「双眼鏡を覗いたふりをして目を閉じていただろう?」
「うぐっ」
夜中の二時、真っ暗な艦橋横に立つと眠くてたまらなかった。四時間ごとに起こされるのは経験したことが無い辛さだった。
救命胴衣が悪いのです、まるで布団の様に暖かいのですもの。




