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試しが続くよ。

 「3」「2」「1」「ドカーーーン」


「ワーーイ」「なぜなにじえいたい」


 テロップが上がりスタジオが映し出される。


「ヒック、ヒック、ウー・・・・・・」


 画面の真ん中に立つ猫耳メイドの女性、和美が両手で顔を覆って泣いている。


「・・・・・・おい、もう泣くなよ。もう始まってんだからさぁ、悪かったよ、謝るからさぁ」


 衝立の上、和美の横でまきぐも君がユラユラと体を揺らしながら和美に謝る。


「ん? 謝る・・・・・・」


 和美は指の隙間からまきぐも君を見る。


「ああ、それにしてもプロデューサーも無茶するなぁ、帰って来たからもう一本打ち合わせも無しに本番を直ぐに始めるだなんて」


「ウッ・・・・・・違うの、いじめられたから泣いてるんじゃないの」


「え? じゃあ何で泣いてるんだよ」


「うん、グスン、これで住民税が払えるから」


「えっ? なんだって?」


「ウフ、これで住民税が払えるから嬉しくて泣いてるの」


 衝立の上からまきぐも君が消えてズダン! と衝立の向こうで何かが倒れる音がした。


「あ、大丈夫? まきぐも君」


 衝立の向こうを覗き込む和美。


「いっっ、うれし泣きかよ。どんだけ貧乏なんだよ。もういい! 始めるぞ」


「は、はい、にゃん!」


 衝立の向こうからヌッ、とまきぐも君が現れる。


「やぁみんな、まきぐも君だよ! そしてー」


「ハァーイ、悩み事が無くなった解説の和美お姉さんよー。にゃん!」


「・・・・・・和美お姉さん、今日は何を解説してくれるの?」


「んー、そーねー、じゃあチョット長くなるけど「玄門」について話しちゃおうかなー。にゃん」


「(小声)クッ、こいつ次回まで引っ張る気だな」


「ん、どうしたの? まきぐも君にゃん」


「い、いや、何でも無いよ。それで玄門ってなに?」


「はい、玄門とは艦の門であり入港したときに設営されますにゃん。主に艦の中央に天幕を張って、それと二人ほど入れる小屋も作りますにゃん」


「へえ、それで何をするところなの?」


「勿論隊員及び業者、あらゆる物(者)の出入りを監視しますにゃん。それに加えて各種号令も艦内放送で伝えますにゃん」


「わあ、大変そうだね。でもそれを一人でやるの?」


「いいえ、玄門の当直は四直正で時間が決まってますにゃん。一直は八時から十二時まで二直は十二時から十六時、三直は十六時から二十時の四時間ずつで、四直が二十時から二十二時の二時間でそれから一直に戻って二時間ずつ当直して最後に四直が四時から八時までにゃん」


「へー、それが一日の流れなんだね。良く分かったよ和美お姉さん」


「えへ、ありがとうまきぐも君。あら! もう終わりの時間ね。次回は一直ずつの仕事を解説していくにゃん」


「(小声)ヤッパリやりやがったこの女」


「えっ、どうしたの? まきぐも君」


「な、何でも無いよ。でもお姉さん次回があるかー」


「さぁー! 次回もお楽しみにね。バイビー、みんな、ありがとねー」


 ブンブンと手を振る和美。


「あ、あー、勝手にー、ば、バイビー」


 ダン! と終了の文字が上から落ちてくる。


「おい、勝手に終わらすな、てか続かすな!」


「だ、だってこのままじゃ借金がぁ」


「借金もあるのかよ!」


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