第二回のためし。
「3」「2」「1」「ドカ―――ン」
「わーーい」「なぜなにじえいたい」
タイトル場面から画面がスタジオへ切り替わると、衝立の向こうからまきぐも君がヒョッコリと現れる。
「やあみんな、また会えて嬉しいよ。まきぐも君だよ。そしてー」
画面の隅で俯いてブツブツ何かを呟いている和美。
「……よかった、続きがあった。これで家賃が払える、あぁ、でも今月の光熱費いくらだろう」
「か、和美お姉さん?」
「あ、今月市民税来るじゃない! どうしよう払えないよ。ったくぅ税金ばかり取りやがってぇ」
「おいコラ、童顔なのにもうすぐ三十路の貧乏女」
「っーー! だれが貧乏女よっ、それに私は四捨五入すれば二十歳ですぅ……あ」
「気付いたか? もう始まってんだよ和美お、ね、い、さ、ん!」
慌てて画面中央に寄る和美。
「あ、あーー、ごめんねー。はぁい、解説の和美お姉さんだよーあ、にゃん。き、今日はどんな質問があるのかなぁ」
引きつった笑顔で首を傾げる和美。
「…………」
「う、……今日はどんな質問がー」
「お姉さん!」
「は、はい!」
突然の大声にビクッ、とする和美。
「今日はね、ぼくの親戚のことだよ」
「え、まきぐも君の親戚?」
「そう、僕は佐世保に居るけど親戚は呉に居るんだ。分かるよね?」
焦り出す和美、身振りでそんなの聞いてない、とアピールする。
「分かんないの解説のくせに、分かるよね?」
「クッ、わ、分かるわよ! それぐらい、か、解説なんだもん。あ、にゃん」
「じゃあぼくの親戚の事、教えてくれる」
「ええ、えっと、あ、なつぐも君達のことね! にゃん」
「小声 チッ、知ってたか」
自信満々で胸を張る和美。
「フフーン、なつぐも君はまきぐも君と同じくもクラスだけど形が大分違うのにゃん」
「どんな所が違うのか教えてよ」
「いいわよ、なつぐも君の特徴は何と言っても煙突ね。にゃん」
「煙突?」
「そう、まきぐも君の煙突は二つあって間にアスロックを挟んでいるじゃない? にゃん」
「う、うん、そうだね。あ、にゃんてぇ言う時に一々可愛いポーズとらなくていいよお姉さん」
「わ、分かったにゃん。対してなつぐも君の煙突は一つで、その為後甲板にアスロックを配置して射線を広げたのにゃん」
「う、ぼくのアスロックは煙突が邪魔で真横にしか撃てなかったからね……」
「そうなのよ! 更になつぐも君は大砲も後部だけだけど最新型の単装速射砲に変えてるの。凄いわねぇ! にゃん」
「そ、そうだね。それでぼくの親戚はなつぐも君の他には居ないの?」
つっ、と和美の頬に汗が流れる。
「えっ、も、勿論居るわよ。えっとな、なつぐも君の他にでしょ……あっ、むらくも! むらくも君が居るわっ。にゃん」
「あれ? 和美お姉さん護衛隊は三艦で一つの隊だったよね、もう一艦は?」
「え、あ、うー、そうね、もう一艦ね、もう一艦はー……」
「あれー、知らないの? 和美お姉さんは艦艇の事なら何でもござれ、なんだよね? どうしたのかなぁ。だったらー、なつぐも君はどの護衛隊に所属しているの? 群は? ねえ教えてよ解説の和美お、ね、え、さ、ん」
顔を赤くしてプルプルと震える和美。
「う、うーー! まきぐも君のいじわるーーーー! にゃあぁぁぁん」
泣きながら画面から走り去る和美。
「あ、ちょっとやりすぎたかな……。まあいいか、そのうち給料取りに戻って来るだろう。あ、みんなぁ、今日はここまでだよー、また会えるか分かんないけど元気でねー」
ダン! と「終わり」と書かれたテロップが上から落ちてくる。
「あー、あの子マジ疲れるわー。プロデューサーまだあの子使うの?」
「あ、あの、今日のお金……」
「わあ! もう来た!」




