手信号 最終回。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「あ、頭が……、痛い」
「当然よっ。本番中なのに急にお酒なんか飲みだして」
「それについては申し訳ない。だがしかぁし、その後何だかんだと言いながら僕が持ってきたお酒を全部飲み干して、さらにコンビニお酒を買いに行かせたのは誰だったかな ?」
「き、記憶にございません」
「ほう、そうかそうか。それにしてもあれだけ飲んで何ともないんだな」
「なによ、お酒の一升やニ升飲んだうちには入らないわよっ」
「ウイスキーやワインも飲んでたじゃないかっ、お姉さんはっ」
「あれ ? そうだったっけ ?」
「マジ蟒蛇だったかお姉さんは。まぁいい、先週中断したから今回は最後まで行くぞっ」
「了解ょっ。それで先週のお題はどんなのやってたっけ」
「三分隊の手信号だよ、そこまで忘れてるのかお姉さん」
「あーっ、だんだん思い出した。確か『右舷前部に魚雷命中、担架急いで、もって来い』だったわね」
「そうそう。で、今回は『急いで』からだよ」
「急いで ? 走るジェスチャーかな」
「おしい、走るジェスチャーの右腕だけを使うんだ」
「右腕だけを ? どう使うのよっ」
「まず肘を九十度にまげて、突き出す感じで半身になる。そして左右に振るんだ」
「おおっ、右腕をシャカシャカ動かせば急いでる様に見えなくもないわ」
「次は『持って来い』なんだけど、これは簡単で右手の平を伸ばして上に向けるんだ」
「手の平に何かを乗せる感じね」
「それを前に突き出してから胸元に引き戻す。そうすると『持って来い』になるんだ」
「いろいろあって面白いわ、もっと他に覚えてないのっ」
「ごめん、もう他には覚えてないんだ」
「残念ね。あっ、これを見てる機関科の人にお願いしましょうよっ」
「うーん、どうだろう。今まで同じ海自の人には評価してもらってないからなぁ」
「絶対何人か見てるわよっ。三分隊機関科の人、お願いしまーす。ほら作者もっ」
「ええっ、どうか助けると思っておねがいしまーす」
「よし、これで何とかなるわねっ」
「そ、そうかなぁ」
「大丈夫よっ。それじゃあみんなー」
「「バイビー」」
ガタンと終わりのフリップが落ちてくる。




