短魚雷の秘密 最終回。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「いよいよ今回は短魚雷の最終回、魚雷はどうやって目標を探知するのか。だっ」
「ちょっと、大丈夫なの ? なんか難しそうな話よね」
「大丈夫、難しい話は僕も分からないから」
「……それってどうやって解説するのよ」
「まあ僕はただの兵だからねっ、下士官あたりならいろいろ解説できるとおもうけど……」
「なるほど、ほとんど知らない。てぇことね」
「うっ、一応魚雷の海士課程は収めているから、それなりには話せると思う。でもこれは『秘』に関わるんだよ」
「じゃあ話せないじゃん」
「いや、もういろんな所で話しちゃってるから……、多分大丈夫」
「でもその『秘』を普通のノートに書き写している時に、幹部の隊長からめっちゃ怒られたのよね。前の放送でそんなこと言ってたじゃん」
「うん、でも海曹の教官からは怒られなかったから隊長が厳しかっただけだと思う」
「ふーん、そうなんだ。じゃあ早速解説お願いね」
「了解。お姉さんは音の広がり方は分かるかな ?」
「イメージとしては水の上を走る波紋みたいに波が広がるイメージかな」
「うん、そのイメージで間違いないよ。じゃあなぜ魚雷の天辺、頭の先は平なのかは分かる ?」
「えっ、えーと確かに平らになってたわね。尖っていた方が水の抵抗が無くてスピードも出て、なにより信管が付いてるはずよね、……なんでなの ?」
「フフッ、それは魚雷の耳かそこに付いてるからなんだ」
「耳 !? あぁ音を感知する所ね」
「そう、頭の天辺を平らなセンサーにすることで音の音源が分かるんだ。確かにスピードは少し落ちるかもだけど追尾するには必要なんだ」
「でっ、なんで平らにすると追尾ができるのよっ」
「音は丸く広がるって言ったよね、そうすると横から音が広がってくるときに平らになっているセンサーの端に当たってから広がる音の時間差を感知して、正面からその音源を受けるように変針するんだ」
「えっ、待って。そのセンサーの端から端に当たる音のタイムラグで魚雷は追尾を開始する。てぇこと ?」
「そう、その通り。すごいよね短魚雷、でも発射されていきなり波に弾き飛ばされたらどうしょうもないけどね」
「あ……、そうね」
「じゃあ今日はここまで。それじゃあみんなー」
「「バイビーー」」
ガタンと終わりのフリップが落ちてくる。




