短魚雷の秘密 その四。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「よっしゃ、早速続きだ !!」
「確か波やウネリが高い時に短魚雷の発射が実行されたのよねっ」
「うん、発射はソーナー室で行われるけど発射管の方も同時に発射ボタンを押すんだ」
「どちらかが故障してても発射ができる様にねっ」
「そうそう。今回もそうやって発射されたんだけど、パシュッ !! と発射されたのと同時に高速で走る『まきぐも』の側面にドォーーン !! と波が当たったんだ」
「偶然にしてはナイスタイミング、てぇやつよねっ」
「う、うんそうだね。で、側面に当たった波は垂直に跳ね上がり、まさに発射されたばかりの短魚雷の胴体真下に当たり、魚雷を持ち上げたんだ」
「へえ、波にそんな力があるのね」
「ああ、僕もビックリしたよ。魚雷は発射管より高く上がり少し頭を上に向けながら後方へと持っていかれた」
「幸いにも艦には当たらなかったのね」
「うん、魚雷は空しくスクリューを回しながら殆ど海面と並行に海の中へと消えていった」
「それってカナリヤバくない ?」
「ヤバいてぇもんしゃないよ。今までそんな海面に突入した魚雷は多分ないからね」
「でもでも、自爆装置は付いてるんでしょ ?」
「あー漫画で見ただけで詳細は分かんないけど、火薬搭載してないから自爆は無理だね」
「あっそーか、記録装置が火薬の代わりに搭載されてたよね」
「だけど途中で停止させる機能は付いてるかも。通常は海面に突入した後一気に天井と呼ばれる所まで潜ってから、床と呼ばれてる所まで丸くえんを描きながら探知を始めるんだけど」
「海面と並行に落ちたのなら水上艦を探知して追尾してくるわよ」
「まあその可能性もあるかな ? ちなみにどうやって探知するのかと言うとー」
「あーはいはい、今日はここまでよっ」
「またかよ」
「いーから、はいそれじゃあみんなー」
「「バイビー」」
ガタンと終わりのフリップが落ちてくる。




