失敗失敗。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「思い出したぁーっ !!」
「 ! な、なに ? ビックリさせないでよっ」
「いや発射管のこと書いていて怒られたことを思い出したんや」
「そこ、また書いてる言わないっ。え、怒られたこと ?」
「あー、ごめんごめん。そう怒られたんだ短魚雷の発射の準備をしていてね」
「そう、じゃあそこんとこ詳しく」
「うん、午後から短魚雷の訓練発射が行われるので午前中に装填と空気圧の注入をしてたんだ」
「そこで何か失敗したのね」
「いや失敗したのは僕じゃないんだ」
「えっ、失敗してないのに怒られたの ?」
「いや最終的には失敗したんだけど、最初の失敗は違うんだ」
「……よくわからないわね。ちゃんと説明してくれる ?」
「了解。あれは晴天で波も穏やかな午前中だった、班員総出で短魚雷発射の準備を終えて海曹達は一度艦内に戻って僕ともう一人が残っていたんだ」
「そのもう一人が始めに何か失敗したのね。で、どんな失敗をしたのよっ。それともう一人って作者の後輩なの ?」
「そんな続けざまに質問しないでくれ。始めにもう一人というのが同じ士長なんだけど曹候なんだ」
「曹候 ? ああ、海曹候補生ね。時期がくれば自動的に海曹になる」
「そうそう、制服が七つボタンでカッコいいんだこれが」
「で、その曹候がどんな失敗をしたのよっ」
「何を考えたのか、この間話した重い充填された気圧タンクを外してしまい、斜めに引っかかってそのままエアーが漏れ始めたんだ」
「大変じゃない ! いつ暴発するか分からないでしょ」
「そうなんだ。僕は慌ててエアーを抜いてタンクを元に戻して事なきを得たんだけどね」
「暴発しないでよかったわね。でもせっかくエアーを入れてたのにもう一回入れなきゃなのね。ただそれって少しずつ入れるから時間がかかっる……、のよね ?」
「うん、ゆっくりと入れないと危険なんだ。なので僕は早めに入れようと報告もなしに充填をしたんだけど……」
「えっ、それがいけなかったの ?」
「うん、そうなんだ、充填は海曹が居ないとだめだったんだ。薄々は知ってたんだけど、僕は曹候を無意識のうちにライバル視してたのかもしれないね」
「ああ、お前の失敗を無かったことにしてやったぞ。とか」
「うん、結局自慢げに報告して怒られたんだけどね」
「自慢げにて……」
「よし、今日はここまで。それじゃあみんなー」
「「バイビー」」
ガタンと終わりのフリップが落ちてくる。




