水側員艦内に帰る。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「よし、今度こそBT投入!!」
「待って、作者に相談したいことがあるの」
「えっ、お姉さんが相談? 僕に?」
「そうよ、これは作者しか解決できないわ」
「フム、僕にしかね。言ってみそ」
「急にふんぞり返るのね、まあいいわ。実はね夜枕元にしまゆき君が立つのよ。そして金縛りよっ」
「えっ、しまゆき君。だれ?」
「はあ……。やっぱり完全に忘れていたのね、ほらいたでしょ、船の格好をした怪人が」
「あ、あーっいたねそーゆーの」
「でね、私の顔を覗き込む様に近づけて無言で見つめてくるのよっ」
「ほほう、でもお姉さんのことだからただされるがまま、じゃないよね ?」
「勿論よ、幽体離脱してヘッドバットを食らわせてやったわっ。怪人のくせに生意気なのよ」
「やっぱり、じゃもうそれでいいしゃん」
「よくないわよっ。どうなのよ、しまゆき君もう出してあげないの ?」
「うん、あげない。使い道が無いもん」
「……そこの椅子の陰で泣いてるしまゆき君が見えるわ」
「気にしない気にしない、きっと幻さっ。さあBT投入の話を始めるぞっ」
「はいはい了解よっ、私も気にしない事にするわ」
『そんな、お姉さーん……』
「気にしない、気にしないったら気にしない」
「そうそう気にしないのが一番。なんせ僕も事故物件に八年間も住み続けたんだから」
「えっ、やっぱりあのアパート事故物件だったの ?」
「うん、てるさんのマップで住んでたところに炎が灯ってた。告知義務あり、って書いてあったけど何も話してもらってなかったよ、家賃ほかの所と変わんなかったし」
「そうなのね、大変な所に住んでたのね」
「まただいぶズレたな。気を取り直してもう一回始めからいくぞ」
「そうね、始めの方は忘れちゃってるし」
「BTというのは水側員が後甲板に持ってくるミサイルの様な形をしたやつで、内部に何かを薄く吹き付けたガラスの板をセットするんだ」
「それを細いワイヤーの先に取り付けて釣り竿の様に横に三メートル伸ばした鉄棒から落とすのね」
「覚えてるじゃないか。それで『用意良し』と艦橋に報告すると艦橋から『BT投入』と命令される」
「ようやく投入ね」
「うん、やっと『BT投入したー』と艦橋に報告できる。んでこの間取り舵や面舵みたいに進路変更ができない、なんせ三百メートルほどワイヤーを伸ばすからね」
「船はお尻を振って回頭するからワイヤーをスクリューに巻き込んじゃうわね」
「その通り。おや、もうそろそろ時間だね。それじゃあみんなー」
「待ってよっ、BTはもう巻き上げるだけでしょ?だったら最後までやりなさいよっ」
「えーっ、仕方ないな。投入した後はどんどんワイヤーを伸ばして百ー、二百ー、三百ー、巻き上げるー。と一気に巻き上げて『BT投入用具収め』で水側員は艦内に帰っていくんだ」
「結局何を観測したのか分かんないのね」
「もういいだろ? それじゃあみんなー」
「「バイビー」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。