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一回の失敗で昇進ができないとは。

 雑音発生装置。


 今の護衛艦が装備しているかどうか分からないが三十年前は装備していた。


 これは潜水艦からの魚雷を避ける為の装置だ。


 これを陸上で起動させると、ガラガラガラ! と大きな音がした。


 音がする部分は小型ミサイルみたいな細長い筒だった、これに長いワイヤーが付いているので海中に投入して伸ばす。


 音で探知する魚雷にはそれなりに有効なのだろう。


 そう言えば航海中、毎夜毎夜水側班(ソナー)が後甲板に出て来て小型の弾頭みたいな物に薄いガラスの板を差し込んで、それを海中に入れていた。


 これは私が後部見張りをしていたので、経過を逐次艦橋に知らせていたのだ。


「〇〇(名前忘れた)投入、五十、百、二百・・・・・・、巻き上げる」


 これは何をやっていたのか? 多分海中の温度かな。温度で音の伝わり方が違うとも聞いてるし。


 だけどガラスの板で温度は・・・・・・。


 後部見張りは一人だけで行う。殆どが魚雷員だ。


 なので隠れて色々出来る、一度お酒を飲まされた事もある。まぁ寒かったので気付けだったのかも。


 だけどけっこうフラフラになったのを覚えている。


 無電池電話のコードを引きづってウロウロできる。仕事としては後方から近付く船を報告したり、艦尾灯がちゃんと点いているか報告すること。


 あ、そうそう、まきぐもの艦尾にはVDSという曳航式ソナー、通称金魚という物が格納されている。


 私が乗艦しているときは一度も使ったことがないソナーだ、形は薄くてオレンジ色をしている。


 大きさは畳半畳程度だ、これを海中に投入して曳航する。


 海中は前に書いたように温度で音の伝わり方が違う、ならば潜水艦と同じ深度まで下ろして捜そう。


 というのがこの金魚なのだ、しかし現在はソナーも進化したようで、そんなことをしなくてもちゃんと潜水艦の場所が分かるようになったらしい。


 だが以前、これの操作中にワイヤーを切ってしまい金魚を無くした事があったそうだ。


 なのでこの操作をしていた水側の班長は先任海曹室に入っても良い歳なのに二曹から昇進できないでいると聞いた。


 もう使わないんだからそんなに怒らなくても・・・・・・。

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