階級の差は本当に面倒ですね。
「OUTをアニパロ雑誌にしたのは、俺だっ!」
と、堂々と言い放ったのは射撃管制の山崎三等海曹であった。
山崎海曹は小太りで銀縁メガネといった、見た目まんまのヺタクであった。
どうやってアニメ雑誌でもないOUTをアニパロ雑誌にしたのかと聞くと。
「投稿をしまくってアニパロ雑誌にしてやった」とのことだ。
彼は私の師匠と言っても良い、何故なら私よりビデオレンタル店の会員カードを沢山持っていてる。甲板掃除中前屈みになった所、胸ポケットからザザザッ、とガードが落ちたのを見てびっくり、みんな海に落ちちゃったけど。
それと私をラノベの世界に引き入れたのも彼である。当時ラノベという言葉も無かったのだが、彼に認められた私は彼からある小説を貸して貰った。
私は字が沢山並んでいる小説なんか見たくもない、と思っていたのだが・・・・・・、彼が持ってきたのは-。
火浦功先生の「未来放浪、ガルディーン」であった。
私はあっ、と言う間に引き込まれた。何だこの絵は、ストーリーは、このキャラは! それ以降私は小説にハマることとなる。彼の策略に乗ってしまったのだ、今考えると彼に会わなければ・・・・・・。
それはさておき、彼には大変お世話になったのだが迷惑も掛けた。
航海中ワッチの交替で次の当直員を居住区へ行って起こして回るのだが、この時私は失敗をした。
当時私は見張りで当直海曹が彼だった、当直海曹が次の当直員を起こして回るのだが海曹になったときの練習として私が各居住区を回って起こすこととなった。
当直員は班がバラバラなので素早く居住区を回るのだ、ベッドの場所も記憶しなくてはならない。
同じ三段ベットかベッドがズラリと並んでいるので間違えたら大変だ。
私は何とか間違わずに全員を起こすことに成功したのだが、ここで私は大きな間違いをしていた。
それは階級の低い者から起こす、という大前提を忘れて居住区ごとに起こしてしまったのだ。
階級の低い者を起こしたら一度居住区を出て、他の居住区の低い者を起こしてから又その居住区に戻って階級の高い者を起こさないといけなかった。
私は咄嗟に「それ、聞いてません」と言ってしまった。
もしかしたらちゃんと聞いていたのかも知れない、彼はもの凄く怒られていた。
山崎海曹・・・・・・ゴメンナサイ。今も元気にヺタクやってる?




