夜光虫。
「3」「2」「1」「どっかーん」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「あーあ、とうとう一週間飛ばしちゃった」
「クッ、気にしない気にしない、と、一休さんも言っている」
「つまり一休み ? だと ?」
「そう ! 正にその通り。ちょっと休憩しただけさ、決してサボりたかったわけじゃ……ないよ ?」
「なんでそそこ疑問形なのよっ。どうでもいいから続きを、続きをやってね」
「お、おう。それじゃあ……えっとー」
「忘れてるじゃない !!」
「大丈夫、今思い出しました。今回は感動し損ねた話だよ」
「感動をし損ねた ?」
「そう、海ほたるって知ってるかな」
「知ってるわよ、東京湾に浮かんでて千葉とつながってる島でしょ」
「まあそれもそうなんだけど、じゃあ夜光虫って知ってる ?」
「夜光虫 ? たしか夜の波打ち際でキラキラと光る虫のことよね」
「そうなんだけどあれは虫じゃなくてバクテリアみたいだよ。何でも酸素と反応して光るとか光らないとか」
「どっちなのよっ、光るんでしょ」
「うんそうだね、光るんだけどー昔何かの物語で船が通った後、つまり航跡だね、それが光って夜は光の道ができる。って何かの物語で見てたんだけどー」
「見たことが無い。と ?」
「そうなんだ、後部見張りを何年かやってたけど一度も無いんだ」
「それって遠洋航海で南の方へ行った時も ?」
「うん、あっ、一度あったよ夜光虫」
「なんだ、忘れていてだけじゃない。で、キラキラした道ができてたの ?」
「いや、航跡じゃなくて艦首の方」
「艦首って、波を切ってる所 ?」
「そうそこ、キラ、……キラ。って二三個光ってた。すぐ見えなくなったけど」
「……結局感動できなかったのよね ?」
「そうだよ、だから感動し損ねたんだよ。と言うことで今回はここまで」
「次回はちゃんと一週間後よ」
「う、うん、頑張る。それじゃあみんなー」
「「バイビー」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。




