三人目の女性はー。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「今度こそ、これまでの荒筋っ !」
「はいはいとーぞどーぞ、もう何も申しません」
「……なんかそういわれるとー、まあいいわ。短期間の間に三回ものチャンスに恵まれた作者。しかし、そのうち二回とも完全にスルーしてしまう。で、一回目は」
「はい、僕はしまゆき君だよ。一回目はなんとボーナスステージで電車の中で酔って立ち上がれなくなっている女性とそれを介抱している女性二人とも二十代のかわいい子」
「せっかく皆が無視して電車を降りているのに作者も一緒になって降りてしまうのよ。ヘタレすぎるでしょ」
「だから無理だって、二人なんて、それに周りには大勢人がいたしー」
「じゃあ次、二回目はどうなのよ。しまゆき君二回目」
「はいお姉さん。二回目は駅を出てアパートに帰るまでの道でのことだよ。暗い道で何かを落としたみたいで下を向いて同じところをウロウロしている三十代前半の女性」
「これならどうよ、一人で周りには誰も居ないわ」
「無理だね、彼女いない歴半世紀超えをなめるなよ。こんな人気のない暗い場所で女性に声をかけるなんてイケメンにしかできないことさ」
「クッ、後ろの人も今の私と同じ気持ちだったのかしらね」
「なんだよ、親父は関係ないだろっ」
「でも作者はカバンにライトを忍ばせていたんだよね ? 貸してあげればよかったのに」
「其れに気付いたのは横を通り過ぎて暫く歩いた後だったんだよ、あの困った顔を見た時にサッと出せたらよかったんだけどね」
「ハァ。もういいわ、次はいよいよ三回目よ。今度こそっ ! って気合入れてるわよ後ろの人」
「だから関係ー、フゥ。そんな気合なんて入ってなかったぞ」
「いいから、話してみそ」
「ああ、私は月曜日だけ昼のシフトに入っていて朝の七時までに現場入りするためにバイクで渋谷まで通勤してたんだ」
「あら、日曜は夜番なのに ?」
「うん、月曜は五時起きで辛かったなぁ。とっと、その話はまた今度。バイクでは国道一号線を五反田までいって左へと曲がるんだけど、その手前の信号で止まっていると前の車の助手席のの人がー」
『あの人大丈夫かしら ?』
「って言いながら左のビルを見てるんだ」
「えっ、ビルの中を見てるの ?」
「いや、そこは壁で中は見えないはずなんだけどー、青になって前進して分かったんだ」
「なによじらすわね、女性が、女の子が居たんでしょ ?」
「ああ、その子はー。おっと、そろそろ時間だな」
「引っ張るわね、まあいいわ。それじゃーみんなー」
「「「バイビー」」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。




