今年最後のー。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「……今年も終りね、しまゆき君」
「そ、そうだねお姉さん」
「しまゆき君、今年はどんな年だった?」
「え、いや、どんな年だったって言われてもー」
「私はー」
「作者には聞いてないわよ。どうせ今夜も一人で年越しするんでしょ?」
「ち、違うわい! 今夜は友達と飲みに行くんだい」
「へえ、珍しいわね。でも……、あっ、友達も独身ねっ」
「そうだけど、……悪いかよ」
「いいわよ、傷をなめあってやけ酒を飲んでくるといいわ」
「うっ、喧嘩売ってる? 売ってるよな?」
「まあまあ、作者落ち着いて。それより今年最後の放送のお題は何かな」
「うん、実は自衛隊のことじゃないんだけけどー」
「またぁ? 少しは自衛隊絡めなさいよ!」
「また今度な。これを見てくれている人たちに聞きたいのだけど、オーブって知ってる?」
「えっ、あの心霊スポットとかでフワフワ浮いてる玉のこと?」
「そうそう」
「まただよ、いい加減にしてよね。あれは空気中のチリが、光を反射して丸く光ってるのっ」
「いや、それならいいんだけどね。気になるのは暗視カメラにそんな風に映るか? てぇことなんだ」
「ん? もう少し詳しく聞かせなさいよ」
「ようやく食いついてくれたね。ほら、私って東京にいた時学校の警備員してたじゃん」
「そうだったね、たしか夕方四時から十時までの六時間勤務だったよね」
「うん、それでさ正門と裏門に一つずつ監視カメラが付いてるんだけど、ある日画質が良くないてぇことで高性能のカメラに交換したんだ」
「そのカメラにオーブが映ったの?」
「そうなんだ。正門は煌々と明かりが点いてるから暗視カメラには切り替わらないんだけど、裏門は木々が多いから東京でも光が遮られてカメラが自動的に暗視カメラに切り替わるんだ」
「裏門が暗視カメラに切り替わったときにしか映らなかったの?」
「ああ、明るいうちは全然映らなかったね。なぜか暗くなって暗視カメラに切り替わってしばらくするとフアフアと無数の小さなシャボン玉みたいなのか現れるんだ」
「それってあれよ、紫外線よ、カメラが紫外線をだしてそれが空気中のごみに反射して丸く光ってるのよ」
「う……、カメラに詳しくないから暗視カメラがどんな原理で映像を映してるのか……」
「あれ? 作者、艦にも暗視カメラって言うか望遠鏡付いてなかった?」
「あー、付いてたね。でもあれは全体的に映像が緑色してたし、望遠鏡の下に大きな箱があってそこから何か出してる感じだったなぁ」
「じゃあ全然違うわよ。もういいじゃない? 紫外線にごみが反射してた、で」
「うーん、ゴミが浮いてるってかんじじゃなかったようなぁ」
「作者、それって毎日映ってたの?」
「いや、すぐに周りの木々が伐採されて明るくなって、暗視モードに切り替わらなくなっちゃったんだ」
「怪しいわね、伐採は予定に入っていたのかしら」
「さあ、どうだったかなぁ。あっ、今年最後の放送も終わりの時間だ」
「えっ、いいの? 今年最後のがこんなお題でっ」
「お姉さん、いいんだよもう」
「しまゆき君、アンタ悟りきってるわね。まあ仕方ないかっ」
「そう! 諦めが肝心だよっ。それじゃあみんなー」
「「「良いお年をー」」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。




