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悲惨だ、アマリニモ。

事件が起きたのはある暑い日の昼下がり、第一術科学校が休日だった日の事です。


 事の発端は午前中上陸(陸上でも外出は上陸と呼称する)した同期の者がある物を借りて来たことから始まりました。


 彼もこの時こんな悲惨な事になるとは……、思ってもいなかったでしょう。


「おい、あいつ『あれ』を借りて来たらしいぞ。今から娯楽室へ行くそうだ」

「なに! それは是非一緒に行かねば」


 と、言う事でいつの間にか当直の六人(休みでも当直で数人学校に残る)が集まり、借りて来た本人と一緒に学校の四階にある娯楽室へと向かった。


 学校の娯楽室は三っあり、一つは大広間で二十畳程度で囲碁や将棋盤が置かれていた。後の二つは六畳程度の部屋でテレビとビデオが設置されていた。


 ちょうどテレビがある部屋は誰も使っていなかった、私達は二士なので海曹が使っていたらとても使わせてくれ、なんて言えない。


 ドアを開けるとムワッとした熱気が我々を襲ってきたが、その様な事は気にしない。なんせ部屋の中には不釣り合いなほど大きな業務用クーラーが設置されているからだ。


 意気揚々とスイッチを入れるとーバチン! ……娯楽室全体のブレーカーが落ちてしまった、なんてこった! 戦前からの建物だがブレーカーも戦前の物なのか!? 私達は他の娯楽室の海曹に誤りブレーカーを入れてもらった。


 大型のクーラー意味ないし、なんで小型にしないのかっ! ハァハァ、まぁそれはそうと私達は窓を開け放ったが熱風も吹き込んで来なかった。いわゆる風一つない。


 しかし私達は諦めなかった、借りて来たビデオを見るために。そう、借りて来たのはビデオだ。


 古いデッキにビデオを入れて上からバシャン、と押し込む。嬉しい事にビデオとテレビの電源を入れてもブレーカーは落ちなかった。頑張れブレーカー、負けるなブレーカー。


 私達は汗をダラダラ流しながら食い入るようにブラウン管を凝視した。


 そこに映し出されたのは、緑の髪の鬼娘ー、そう! 『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』だった!!


 私達は映画館で見ることができなかったのだ、こんな所で見ることができるなんてー。


 だがしかし、この後大変な事が起こる。


 あれはラムちゃんが、女の子が水族館みたいな所でポンポン来る所ではない、と言われる場面で起こった。


 いきなりー、バチン! とまたブレーカーが落ちたのだ! ブレーカー様に何が起こったのかっ。


 調べてみると隣の部屋を海曹達が使いだしたためだと分かった。


 汗だくになっている私達を見て一瞬たじろいだが、海曹達は無情にも私達に解散を命じた……、私達が反論できるわけもなく……。クッ。


 そして私が続きを見れるのは一年後、下宿と電化製品を揃えるのを待たなけねばならない。


 なんと悲惨な事か……ねえ?

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