あまつかぜ。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「はーい、昨日に引き続きなぜなに自衛隊の時間がやってまいりました。私は解説の和美お姉さんよ、そしてー」
「僕は護衛艦の妖精しまゆき君さ。お姉さん早速だけど今日のお題はなに?」
「おっと、いきなり来たわね。今日のお題は『あまつかぜ』よ」
「また古い艦を……。『かぜ』と言ったらミサイル護衛艦だね?」
「そうよ、海自で初めてターターシステムを搭載した護衛艦なのよ」
「ターターは確か対空ミサイルだったよね。それを搭載した一番艦てぇこと?」
「それは少し違うわね、一番艦だけど『あまつかぜ』は一隻しか建造されなかったのよ」
「えっ、他にも『たちかぜ』とかのかぜクラスが居るよね?」
「それとは全くの別物で、ただ同じターターシステムを搭載しているだけなのよ。他の武器からして違うもの」
「じゃあ『あまつかぜ』はどんな武器を搭載していたの?」
「うん、まずは大砲ね。大砲は五十口径三インチ連装速射砲を搭載していたわ」
「あ、『まきぐも』と同じ大砲だね」
「まあ同じ時期に建造されたからね。違うのがヘッジホッグを搭載してることね」
「ヘッジホッグ! それだけで古い艦、てぇ感じがするね」
「でもちゃんとアスロックや短魚雷発射管も装備してるのよ。ちょうど武器の変わり目に建造された艦よね」
「そうみたいだね、後で建造された『かぜ』とは別物になっちゃったんだね」
「でも一番目立つのがあの真っ黒い三次元レーダー、よね」
「あ、そうだよね、真っ黒で平たくて。あれはどのくらい大きいのかな?」
「そうね、大体畳八畳分ぐらいの大きさはあるわよ」
「えっ! 僕の部屋と同じだよ」
「しまゆき君の部屋八畳もあるの?」
「あ、うん、八畳二間と台所だよ」
「……もちろんトイレとお風呂はー」
「分かれてるよ、そんなの当り前だよ。ってお姉さんの部屋は?」
「六畳一間で、便器の横に浴槽があるわよ。悪かったわね、当たり前じゃなくて」
「あ……、そ、そうなんだ。あ、ああっ、今日はこの辺にー」
「待って、まだ早いわよ。しまゆき君にはじっくりと昨今の住宅事情をー」
「わーっ、終わり、今日はこれで終わりだよ。それじゃあみんなー」
「待ちなさいしまゆき君!」
「バイビー」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。