なみクラス。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「何も言わないでお姉さん!」
「……」
「分かってる、分かってるから。ちゃんと説明するよ、昨日は子供の日特番って言ったよね? だから今日は土曜の夜で通常どおりの番組なんだよっ」
「ふーん、私は日曜の夜だと思ってたんだけど……。違うの?」
「うっ、そ、そうだね、日曜の夜もやってたよね。うん、たまーに間違うんだよね。ハハハ」
「フゥー、もういいわよ。私たちは一週間に二回以上番組を収録してたんでしょ?」
「……はい、そのとおりです」
「どうして私に黙ってそんなことをしたの? 私に催眠術まがいの物までかけて」
「だって……、だって一週間に二回以上放送しないと視聴率がダダ下がりなんだよ。でもお姉さんとは一週間に一回の契約でー」
「最初からいいなさいよっ!」
「えっ、えっ!?」
「もう、最初から言ってくれれば都合付けたのに。何でそんな回りくどいことを全く」
「ごめんよお姉さん」
「フン! もういいから、始めるわ。よしまゆき君」
「うん! こん、今日のお題は何かなお姉さん?」
「こん……、今日のお題は『なみクラス』よ」
「えっ、あの最新鋭護衛艦のっ」
「まさか。解説するのは一代前の護衛艦よ」
「一代前?」
「そうよ。佐世保に居たのは『まきなみ』『おおなみ』『たかなみ』の三隻で、いつも倉島の八岸に停泊していたわ。因みに九岸はくもクラスね」
「そのなみクラスてどんな艦だったの?」
「一言で言うと古い艦よ。艦橋も細いし煙突も細い、オマケに空調が付いてないから夏は地獄よね。そして古い艦ほど整列が厳しいの」
「整列はともかく空調が無いのはキツイね」
「そうよね、夏場になるとこの三艦だけ甲板が焼けない様に天幕を張りまくるから一段と手間がかかったでしょうね」
「それじゃあお姉枝さん、なみクラスの概要を教えてよ」
「了解よ。基準排水量は1700tで、全長109m 乗員は220名ね。乗員は『まきぐも』とかわらないわね」
「大きさも少し小さいだけで、あんまり変わらないね。次に武装はどうなってるの? やっぱり対潜武器が多いの?」
「ええ、あっ、でも大砲が前に二基と後ろに一基で合計三基あるわね。口径は三インチだけどくもクラスより一つ古い型の大砲ね」
「対潜武器は古いヘッジホッグとか爆雷とか搭載してるの?」
「もちろんよ、爆雷はY字型の投射機を搭載してるわ。あと四連装の魚雷発射管も装備してるわね」
「いろんな武器がてんこ盛り、てぇ感じだね」
「そうね、あと特徴的なのが後甲板にかけてなだらかに下がってるのが特徴ね。ゆきクラスみたいに角切りしないで斜めに切り取った感じなの。それに全体的に角が無くて丸っこいイメージね」
「へえ、車みたいに時代で丸くなったり角ばったりするのかな?」
「ありえるわね、それ。あ、もう時間ねしまゆき君」
「そうだね。それじゃあみんなー」
「「バイビーー」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。




