水舟油船。
「3」「2」「1」「やっぱりおかしいわよっ!」
「昨日はやんなかったけど、二日前にやったばっかりよね!? まだ一週間過ぎてないわよね!?」
「落ち着いてお姉さん。あ、子供の日、子供の日スペシャルだから!」
「えっ? 子供の日?」
「そうだよ、今日は子供の日の特番なんだよ」
「なんだ、子供の日のスペシャル番組なのね? 早く言ってよっ、あせったじゃない」
「フゥ、ごめんよお姉さんだから落ち着いて最初から始めようか」
「ええ、それじゃ最初からね」
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「はい、先ほどは失礼しました。私は解説の和美お姉さんよ、そしてー」
「僕は護衛艦の妖精しまゆき君さ。今日も違う艦艇の解説なのお姉さん?」
「そうよ、今日は支援艦艇の解説よ。って言うか艇の話ね」
「そうなると港にいる曳船とかの話かな?」
「そうなるわね。でも港にいる船は曳船だけではないのよ」
「えっ、曳船の他にどんな船があるの?」
「それはね、水舟と油船よ」
「水と油かぁ! 確かに補給艦からは訓練で給油するだけで、そんなに頻繁には給油しないもんね。でも岸壁にパイプラインとか引いてないの?」
「うーん、今なら引いてあるかもだけど当時は無かったわ。なので船から給油してたのね」
「どうやって給水してたの?」
「停泊中だからマイクで号令が掛かるのよ。こんなふうにー、ホヒー、ヒホー。水舟が付く、左舷に横付け用意。真水搭載用意てね」
「給油だと?」
「ホヒー、ヒホー。油船が付く、左舷に横付け用意、燃料搭載用意。と号令が掛かるのよ」
「それって何トンぐらいの大きさなの?」
「うーん、よく覚えてないけど『まきぐも』よりかなり小型でー、三百トン前後じゃないかな。ググっても出てこなかったのよ」
「あー、戦闘艦じゃないから無理だったんだね」
「あとゴミ船、てえのもあったようななかったようなぁ……」
「ゴミぐらい岸壁に付いてるなら処理できるよね?」
「岸壁に付いてるならね。でも時々ブイ係留もしてたからー、でも内火艇でゴミ捨てしてたようなー」
「記憶があいまいみたいだね。他にはないの?」
「他はー……、無いわね。あっ! あったわもう一つ」
「えっ、どんなの?」
「教育隊を終業した時に乗せられた上陸用舟艇みたいな油臭い船が」
「上陸用舟艇?」
「まあ昔で言うダイハツよ。小型で前に扉がついてるやつよ、五六隻はいたわね」
「へえ、佐世保にはそんな船もいたんだね。あ、そろそろ時間だよお姉さん」
「あら、じゃあ今度こそ来週ね。来週も艦艇の解説をするわ。適当だけど」
「できるだけ調べてね? お姉さん。それじゃあみんなー」
「「バイビーー」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。




