表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/664

シンナーの香りは好きですか?  私は好きです。

塗装、停泊中私が所属する1分隊がやる科業は武器の手入れと「塗装」である。


 これは1分隊の中でも「運用班」が担う。


 私達は外見に重きを置く、何処に入港しても恥ずかしくないように時は洋上でも塗装作業を行う。


 それはもう、そこまでしなくてもー。と思うぐらいだ。


 だが海水は想像以上に艦を腐らせるのだ、油断はできない。


 塗装はサビ打ちから始まる。サビの上から塗装するのは「婆の厚化粧」と言って最もやってはいけない行為だ。


 錆びている場所はコンモリと膨れているので直ぐ分かる、そこをトンカチみたいな鉄の部分が平らに尖ったハンマーで叩く、そしてワイヤーブラシで磨いてから塗装だ。


 あと、ドッグとかに入るとエアーが使える。ジェッターとかグラインダーで徹底的にサビを落とす。


 それで外舷と構造物の色が違うのはご存じかな? 外舷とは艦ナンバーや艦名が書かれている所で、構造物とは艦橋や煙突などのことを言う。


 構造物は外舷と比べて少し色が薄いのだ。時々間違えて塗ってしまったりする。


 しかし、古い艦になると触ってはいけない物がある。壁にセットされているアプリケーションと呼ばれる火災の時水霧を出して外舷を冷やす道具だ。


 万能ノズルの先に装着して使うのだが、これに水を通すとあちこちから水が漏れてしまう。


 漏れるだけならまだ良い、先に上げた婆の厚化粧を繰り返しているのでヒッチングハンマーで叩くとボロボロと崩れてしまう。


 新しいのを買えよ! と言う話しだが・・・・・・予算が無いのだ。


 艦内の塗装となるとまた面倒だ、艦内は狭く配管などが複雑に通っている。


 なので塗装は奥から手前、上から下へが基本だ。奥の方に塗り残しを見つけてしまうと大変である、ベタベタベリベリと作業服を汚しながら奥へと入ることになる。


 それと当時防毒マスクとか換気システムなんか無かったのでシンナー酔いが発生する。


 それを防ぐ為作業を指揮する現場の長として心得ないといけないのが二つある。


 一つは鼻歌交じりで塗装を始めた者、もう一つは同じ場所を何度も塗装している者が居たら急いで外へ放り出すことだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ