ラッタル。
「自衛隊テレビショッピング」
「はい、テレビショッピングの時間になりました。私は販売員の和美です」
「僕は護衛艦の妖精しまゆき君さ」
「さてさて、第二回目となります商品はー」
「待ってお姉さん、まだ万能ノズルの付属品を紹介してないよ」
「あ、アプリケーターね。いいのいいの、これ絶対どこかで解説してるから。それとお姉さんじゃなくて販売員よ」
「えー、確かにどこかで解説したような気もするけどさー」
「はいはい、と言うことで次の商品はこちら!」
ゴトン。
「ラッタルです」
「えっ! ラッタル? どう見ても短い骨組みだけの階段みたいだけど。って言うかどこから出したの!」
「どこからって、こう後ろからグニュッ、とね。フフッそれよりも、そのとおりよ。これは居住区に下りる用に作られたラッタルなの。因みにラッタルは構造物を上り下りする甲板から旗甲板へと行く長めの階段もラッタルね」
「艦内用は短くて艦外用は長めのやつが多いのかな?」
「そうよ、今回紹介するのは短い艦内用のラッタルよ。ほとんどステンレスと真鍮でできていて錆に強いのよ、掃除するときはピカールで磨くんだけど金属部分を溶かすから少しずつ薄くなっていくのが欠点ね」
「欠点? そうだね欠点だね。ハァ」
「どうしたの? 溜息ついて」
「いや大丈夫だよ、それで他には?」
「他には無いわ、以上よっ」
「ま、まあ階段だからね、そうだよね」
「さて、磨き上げられて薄くなったこのラッタルのお値段はー」
「ああっ、お姉さんじゃなかった和美販売員、万能ノズルの値段言ってないよっ!」
「ん? そうね、でも実際には売らないからいいんじゃない? 今回のラッタルも適当だし」
「……いいのそんな適当で。まあ、ありそうな値段付けたら買う! てえ人が出てきそうだけど」
「でしょ、だから適当でいいのよ適当で。で、このラッタルだけどおいくら万円ぐらいだと思う?」
「えっ、えつとー、すり減ってるから五千円? ぐらいがいいのかなぁ」
「まっ、まさかの五千円! それって豚の置物の形をした幽体離脱装置と同じ値段じゃない!」
「えっ、えっ、そんなアニメネタ分かる人いないよっ! しかも十八禁」
「あら、知ってるのね。楽しい幽体離脱。作者はブイエッチエス持ってるのよ」
「もう作者は関係ないよっ、ソフトだけじゃ見れないし。次行こう次」
「そうね、じゃあ来週の商品はこちら。水上レーダーです。
「うあ、アンテナも含むの?」
「いいえ、モニターだけよ。アンテナは大きすぎるもの」
「そうだよね。じゃあ今週はここまで、それじゃあみんなー」
「「バイビーー」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。